第13話 一年後

 2013年度の宇宙人会議が終わり、ヒロが宇宙へ旅立ち、ミカが秘書の頭に妖精ちゃんを見つけたところで、この物語は終わりだった。しかし、読者からの苦情が相次いだ。ヒロはその後どうなったのか。中途半端な終わり方だ。続きを書け。こういう声には従うしかない。




 2013年の宇宙人会議から1年後、ヒロは完全にヤマコス星人マイクロ蝶になってミカの頭の上にいた。アセニアの故郷へ行った28人は、すべてヤマコス星人マイクロ蝶となり、再び人間の身体に戻ることはなかった。意識体は無数に存在し、身体という椅子取りゲームをしているのだ。ヒロの身体は別の意識体に簡単に乗っ取られてしまった。




 地球も変わった。ピルシキ星人は公然と存在するようになった。アセニア星人は人間と統合され、宇宙人とみなされなくなった。すべての陰謀が明らかになり、世界的に政権交代が起こった。進歩、成長、開発は悪魔の3概念と呼ばれ、国連には地球環境保全機関が設立された。この機関は強力な権力を持ち、宇宙開発の全面凍結、原子力発電所の全面停止、全戦争の終結などを実現した。




 ピルシキ星人は警察のようなこともしていた。旧来の悪魔の3概念に溺れている人に対し、無能化光線を浴びせたのだ。この光線を浴びると執務能力だけでなく、日常生活能力すら失ってしまう。人類はピルシキ星人に支配されたと言っても良いだろう。人類は地球の管理人の地位を奪われたのだった。




 そんなことよりも、ヒロとミカの話に興味をお持ちだろうか。さすがに人間はマイクロ蝶と結婚もできなければ、セックスもできない。ヒロの身体はヤマノコス星人マイクロ蝶なのだ。それなのに、なぜミカはヒロを寄生させているのか。それはお守りのようなものだった。




 ミカのもとに2014年の宇宙人会議の招待状は来なかった。2014年以降の宇宙人会議の様子はわからない。ただ、誰もが空気がきれいになり、食事が美味しくなったことを実感している。2013年。それはアセニア星人終焉の年と呼ばれるようになった。ヒロがいま何を思っているのか。それを知ることができるのはミカだけだった。(完)

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宇宙人会議 白井京月 @kyougetsu

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