超光速ハナクソ-08

 右の鼻の穴から鼻血を垂らした俺は、馬野郎が消えた辺りを見つめたまま立ち尽くす。


 ……勝った。


「なんで鼻血出してんの? キモいんだけど。……ってかなんで俺地面に寝てた?」


 起き上がった友人がズボンのホコリを払いながら不思議そうに周りを見回す。

 周囲でも馬野郎に刺されたはずの人たちが次々と起き上がり、そのうちの何人かは、鼻血を流す俺を気持ち悪そうに一瞥して、頭をひねりながら歩み去った。


 馬野郎は俺がハナクソを放つずっとずっとずっと……ずぅぅぅ~っと前に俺のハナクソに当たって死んでいた。

 死んでいる馬野郎が包丁で人を刺せる訳がない。

 つまりこの事件は最初から無かった。


「俺の超能力で事件を解決したんだよ」


「……モルダー、あなた疲れているのよ」


 とりあえず俺はティッシュを配っているお姉さんからポケットティッシュをもらい鼻に詰めると、友人に俺の「ハナクソを加速させる」超能力を見てもらうために、カラオケに向かうのだった。



――完

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空想科学小説「超光速ハナクソ」 寝る犬 @neru-inu

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