前半は陽太と奈々子の出会いとその距離が縮まっていくまでの過程が丁寧に描かれています。
お互いの過去、内面を徐々に理解していく二人。
ライバルから始まった関係は徐々にかけがえのないものへと変化していきます。
そんな二人に襲いかかったあまりにも悲しい出来事。
悲嘆に暮れる陽太の前に提示された手段は、彼女に追いつくこと。
巧みな構成と無駄のない語り口が素晴らしく、次へ次へとクリックする手が止まらなくなります。
「なんだこれ……すげぇ……」と感嘆したり、「く、悔しい……うますぎる……!」と悔しがったりと物凄く忙しく読んでおりましたが、ともかく陽太と奈々子の物語に圧倒される作品です。
第15話まで拝読しました。
大まかにカテゴライズすると、感動SF(少し不思議)系の青春ラブストーリーといった風味の作品です。
かなりざっくりあらすじをまとめますと、物語前半部は主にメインキャラの男の子と女の子が陸上競技を通じて親密になるプロセスを軸に進むのですが、ある大きな出来事をターニングポイントとして、そこからやや意表を衝く方向へ事態が展開していく――といった内容でしょうか。
こちらの作者さんの作品には、しばしば社会派ドラマ的な描写が含まれる印象なのですが、その作風は恋愛小説になっても健在ですね。
それにしても、このお話は具体的に見所をレビューするのが難しい。
何しろ、面白さの根幹を成している要素を説明しようとすると、それがそのまま壮大なネタバレに直結してしまうタイプの作品だと思うので……(苦笑)。
せつない雰囲気と童話のようなSF要素、ややミステリ的な伏線回収に惹かれる方は是非!
掌編といえばこの方――と誰もが名を挙げるであろう作者様のファンタジーです。ファンタジーで『恋愛小説コンテスト』ということで、どんな物語なのかと楽しみにしつつ、第0話へ――。
サンタさんとこんな出会い方をしたら、ボクもサンタになりたいと思っても不思議ではないですね。とても印象に残るプロローグです。
そして時は過ぎ、主人公の陽太は運命の少女、夏目奈々子と会うのですが、またまたその出会いの描写もすばらしく引き込まれます(>_<)
果たして陽太と奈々子は『走る』という行為によって、何を掴むのか、或いは成長するのか――。
作者様の、物語の魅力を余すことなく伝える文章力もあって、必読のファンタジーと言えるでしょう。
皆さまも是非、ご一読をっ(⌒∇⌒)
(継母こわっ!)