そしてきっとその直後、幕切れは呆気ない急転直下。
優也の常識的な「世界観」ゆえに、それは回避できない。
やたら自信満々でカッコいい変人美少女、ほたるさん。
「出シテ」の声に眠れなくなった優也のために、
謎の「泊まり屋」稼業のスキルをフルに発揮して、
心強くも刺激的なトキメキの一夜を演出してくれた。
が、やっぱり優也に襲い掛かるホラー現象。
それが冒頭の、役に立つんだか立たないんだかわからない、
ほたるさんからのアドバイスのシーン。
優也は、ほたるさんを信じて、勇気を奮って立ち上がる。
ほたるさんは何者? このままドキドキなラブコメ展開?
と、いろんな推測や予想がガラッとくつがえされる。
霊能力によらない悪魔退治の顛末は……。
彼女を取り巻く絶妙な不気味さ、すごく好き。
ほたるさんめっちゃ可愛い……!
ほたるさんとのドキドキナイトに興奮しました!
料理をするほたるさん……布団を敷かせるほたるさん……男子中学生には刺激が強いよお……! こんな中で眠れるわけがないじゃないですか! ほたるさんえっちだ!
って思っていたところにこのラストがきたので、読み終わったときは「ああ、これ、ホラーだったんだ……」と思い呆然としました。
そうか、確かに、そうですね……。あれもこれも全部このラストにつながる伏線だったんですね。最後、「もし」がたくさん羅列されているのを見たとき、ぞわぞわとしました。
続編希望です。ほたるさんが解決した他の事件も見てみたいです。
まるで数学の問題にあるような書き出しから始まるこの作品は、ラブコメのライトさを持ちつつも、ホラーとして独自の世界観(ルール)を展開し、その中で解決を図る。
恐らくヒロインの名前の由来であろう、不気味の谷とは、ロボットなどが人間に似るに従って、あるところで急に不気味に感じる現象のことである。
本作ヒロインのほたるさんも、可愛らしいキャラクターであり親しみやすさを感じるが、どこか尋常ならざる者の影をも感じる。
やがて、物語は順調に解決に向かって行くが、最後に思わぬ谷に突き落とされ、改めてこの作品がホラーであることを思い出させる。
そして思うのだ。
ほたるさんはどこまで知っていて何を考えているのだろうかと。
これはもう次の作品を待つより他にない。
とても面白かったです。