まずは目次だけでも覗いてみて欲しいです。
エピソードタイトルだけですでに作品として成立していて、私はフライング気味に感動してしまいました。
本編では、目次そのままの世界観がより濃厚かつ繊細に広がっています。痛々しいほどに眩しい青春の輝きが、深く心に突き刺さりました。
主人公の結羽ちゃんはクールで周囲にあまり興味がなさそうなのに、やたらと記憶力が良いのです。
なぜそんなに色々なことを鮮明に覚えているのか。その理由が明かされたとき、彼女への愛しさが爆発して思わず画面の中の『結羽』の文字を撫でました。
そして読了後、また最初から読み返したくなりました。
無愛想と不機嫌で心を覆い隠していて、一読目では何を考えているのかなかなか分からなかった結羽ちゃん。二読目では、冒頭から彼女の気持ちに寄り添って読み進むことができました。みんなのことがより好きになれました。島の方言も、よりあたたかく心に響きました。
熟読できる素敵な作品です。
さぁ皆さん、一緒に『結羽』の文字を撫で回しましょう!!
行ったこともない場所が自然と目の前に広がっていく。
その海も、その山も、真節小も。
全て見たことがないのに、映像が心に残り、心がぎゅっと締めつけられる。
いつも鎧をかぶり続けていた心は、懐かしくても素直になれない場所にやってきて温かな涙を流す。
感情をさらけ出すことへの恐怖は、久しぶりの顔たちに逢うことでいつしかやわらいでいった。
続編を読みたい気持ちと、この物語はここで終わっているからいいのだ。
という気持ちのせめぎ合いが、あぁぁぁーー!
すみません。取り乱しました。
何がいいたいかといえば、とてもいいお話だということです。
気持ちがどっぷりと浸かりました。
素敵なお話をありがとうございました。
少子化の世の中では東京でも廃校というのは珍しくない。過疎が進む地域では推して知るべし。
廃校になった小学校の卒業生たちが、校舎の取り壊しに際して、集まってきて――というところから始まる物語。
最初、久しぶりに出会ったのだろう周囲の人々に対し刺々しくて、頑なな、主人公が好きになれなくて辛かった。
ところが。
最後の3話ですごく好きになれた。
思い出と今が混ざった結果、彼女の脆いからこそ頑なになっていた言動が溶かされていく。この様をどうか見ていただきたい。
もう一つ、個人的に好きなところを。
玄界灘に浮かぶ島が舞台なのでしょうか。
書き言葉で方言を正確に書くのはとても難しいと思うのですが、こんなに表現されているなんて、と嬉しくて。
「ぎばれーっ!」
この言葉の優しさが、好きです。