エピローグ
おわりに
人生、何が起こるかわからない。
それを24にして悟った。道を歩けばモロッコ人、部屋に籠れば全裸の男、携帯には結婚報告のメッセージと危篤のばあちゃんと撮ったピースサイン。
実を言うと出合い頭にテレビにも出たことがあるし、パリコレを歩いた芸能人サマともお話している。相撲取りとも会った。
いいことだけではないことは、読んでもらえたら多分にわかると思う。
私のような人生を、送りたくない読者が多数派のはずだ。
それにしても、24年でコレか。
今後何が待っているのか、私には全く予測できない。
毎日本をめくり、ネットを漁り、物語を探し物語を読み物語なしには生きていけないからだをもてあましながら、
―――でも、現実のほうが奇なり……
遠い目でそう思っちゃうくらいには、ヘンなメにあってきている。
昨日見た風景は信用ならない。
それは一瞬後に姿を変える。ホントだ。
だって、いつもの風景だと思って道を歩いていたら、向かいからデカいオウムが飛んできて、顔面にブチあたったことがあったからね。
目の前の光景ほど、信用ならないものはないのだ。
それはいつも、日常という薄いベールをかぶっている。異世界転生? そんなもん、落とし穴がいつ足元にひそんでいるかわかりゃしない。
人生においてまだまだ青二才の若輩者だけれど、これだけは、誰しもに言いたい。
―――目の前の光景がとてもとても大切なものであるなら、
その一瞬をしっかり抱きしめておかないとだめだ。
この先どう生きていくとしても、そうして抱きしめたものはゆくゆく、あなたが生きる理由になり、死なない理由になる。
異世界は一駅向こうだ。
すぐそこにある。
生きなくてはならない。
どんな理由があってもなくても、生きるのだ。
今いるそこがどんな世界であろうとも、いつ一駅隣に着くかはわからないのだから。
異世界は、一駅向こうに。 ハム @oddhouse
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