タイトルから猟奇的なホラーを予想していると、比較的早い段階で、いい意味で裏切られます。ストーカーに振り回される殺人鬼……概要の通り、基底にあるのはあくまでコメディなのです。しかも、登場人物が増えるにつれ話は予期せぬ方向へ転がっていき、時にはシリアスな展開が待ち受けることも! このコメディとシリアスの振り幅が物語に一層の深みと奥行きを与えています。
と同時に、この物語が何故近未来SF的なバックグラウンドを持っているのかも判ります。ブレードランナーでいうところのレプリカントの苦悩……単なるガジェットに留まらない、SFの本質もここで垣間見ることができるのです。
一時期更新が滞っていましたので、続きが非常に気になっていたのですが、待った甲斐がありました。終盤のメイン二人のやり取り、大好きです。
ラスト数行も噛み締めるように何度も何度も読みました。これ以外には考えられない、最高のラストです。
最新第26話まで読んでのレビューになります。
猟奇殺人鬼のサトウ、そのストーカーのトホ、この二人が織りなす一風変わった愛をめぐる物語。
それがメインストーリーなのですが、ここにSF設定が入り込み、追いつ追われつのサスペンスがあり、それでも二人の会話・物語は終始コメディーであり、さらになんとも深遠なテーマが現れてくるのです。(このあたりレビューで語ると面白さが半減するので、ぜひ予測不可能なストーリー展開とともに実際に読んで楽しんでください)
特筆すべきはそのストーリー展開、軽妙な語り口と、楽しいキャラクターたちによってグングンと引っ張られます。そうしながらもいろんなことがゆっくりと染み込んでくる。このあたりが実に絶妙で素晴らしい作品です。
そしてこの作品のなによりすごいのは、これだけのストーリー展開をしながらもしっかりと愛とか恋のようなものを描いているところ。この背骨があるからこそ、この物語は楽しいのです。
ということでぜひ読んでみてください!