第6話 トロはひのきの棒でモフモフを攻撃した

■トロはひのきの棒でモフモフを攻撃した


 トロ『エイ!』

 バキぃぃん!!


 ひのきの棒は折れてしまった。


 空中で回転した太くて逞しい棒の先端が、トロの豊満な胸の谷間にすっぽりと挟まった。


 ルル「このエロ戦士!」

 トロ『早く抜いて~!』



■トロはひのきの棒でモフモフを攻撃した


 トロ『エイ!』

 バキぃぃん!!


 ひのきの棒は折れてしまった。

 懸命の処置の末、ひのきの棒は一命を取り留めた。

 3年後……そこには元気に振り回される棒の姿が。


 ルル「立派に育ったな!」

 トロ『お母さん嬉しいエイ!』

 バキぃぃん!!



■トロはひのきの棒でモフモフを攻撃した


 トロ『エイ!』

 ルル「ヤメろ!」


 トロ『ルルちゃん……』


 ルル「トロ。モフモフだって私達と同じ生き物だ。いたずらに命を奪っちゃあいけない。あいつにも守るべき家族がいるだろう。愛だ。愛を忘れるな」


 トロ『ルルちゃん……そうだよね。モフモフの毛皮は高級品で100万ゴールドの値がつくのをいいことに、私、自分を見失ってた。恥ずかしい』

 ルル「殺っちゃお、すぐ殺っちゃお。3匹くらいなら許される気がする」



■トロはひのきの棒でモフモフを攻撃した


 トロ『秘儀、イースラー打法!!』

カキぃぃん!!


モフモフは盛大に吹っ飛んだ。


 ルル「極端なアッパースイング。フォロースルーでバットをすくい上げる独特のフォーム。あれがイースラー打法……完成していたのか!」


 その後打線は爆発。

 低迷していたチームは見事優勝を果たしたのだった。


 モフモフは死んだ。



■トロはひのきの棒でモフモフを攻撃した


 と思いきや、棒を頭上に高く掲げる。


 トロ『ひのきパワー!メイクアップ!!』


 トロが叫ぶと、ひのきの棒は可愛らしいスティックへトランスフォームし、彼女の全身をピンク色の光が包み込んだ。


 デ、デデデッデーーン♪ジャンジャン♪(ループ20秒)


 まばゆい光が消えた後、トロの鎧は薔薇色のドレスに、蒼く長い髪は綺麗なプリンセス編みへと変化していた。

 ルルは目の前で起こった光景に呆然とする。


 トロ『太陽に代わって、丸焼きよ♪』


 棒の先端から吐き出した炎でモフモフは焼き尽くされた。


 ルル「トロ……あんた一体」

 トロ『ごめんねルルちゃん。私の正体は気象A星から来た”プリンセス天候”。正体を知られてしまったからには、もうルルちゃんとは会えないの……さようなら』


 すると森の奥から筋肉ムキムキの男たちが巨大な箱を引きずってきた。


 ルル「誰?あの人たち誰?」

 トロは怪しい踊りを踊っている。


 箱がトロの前に置かれると前方の扉が開いた。

 いそいそと中に入る彼女。


 トロ『ルルちゃん。悪いんだけど扉閉めてくれる?』

 ルル「こう?」

 トロ『そうそう、あ、ちょっと離れて~』


 数秒後、怪しいドライアイス風の煙があたりを包む。そして箱は爆発した。


 ルル「トローーーー!」


 箱は粉々に砕け散ったが、そこに天候の姿はなかった。

 おそらく彼女は自分の星へと帰っていったのだろう。

 ありがとう天候。ありがとうトロ。


 いつかまた、会える日まで。


 次回、家賃滞納強制退去。帰ってきたプリンセス天候。ご期待ください!






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低!レベルガールズ 齋藤薫 @kaoru52

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