冒頭から、ぶっ飛んだキャラクターと、ぶっ飛んだストーリー展開! そして、おじさん……
物語に入りやすいRPGストーリーが、ノリの良さと、さらに笑える下ネタで、一気にラストまで読めてしまいます。
絵的に、一瞬心配になりましたが、そこは配慮があったので、漫画でも大丈夫でしょう。むしろ、漫画版も読みたくなりました。
ちなみに、あのおじさんは、絵的に、愛されキャラのかわいいおじさん(?)が似合うのか、思いっ切りキモくした方がいいのか、悩みます。(なぜ、私が悩む!?)
読み進めるごとに、この作品が、ボケとツッコミ、ノリだけではないとわかります。
意外な伏線の回収、説得力(笑)、読み手の予想を良い意味で次々と裏切る飽きの来ない展開と演出、構成等、構想がきちんと練られていて、作品を非常に巧くまとめられている作者様の力量には、驚かされ、尊敬してしまいました。
ラストに向けて、ぶっ飛んだキャラたちがカッコ良く思えていき、明かされる真実……! 感動しました!
素晴らしい作品です!
未読の方は、是非、お読みになってみてください!
「あるモノ」を奪われた少年少女の一行が、奪った魔王を討伐に旅する物語。という、単純明快なお話ではありません。
衝撃のラストシーンへいたるまで、一気に読み進めることをお奨めいたします。という、ありがちなレビューでは語れません。
まあよくぞこの物語を創造されましたこと!
オモシロオカシク性表現をされており、視線はやはりそちらに向きがちでありますが、物語のバックボーンはかなり真面目です。
好き放題に巻き散らかされたはずのエピソードが、終盤に音を立てて収束され、読み手の溜飲を下げます。
最初はニヤつきながらご覧になるも、ラストではホッコリと幸せな微笑みに変わること請け合いです。
魔王討伐ものを装ったコメディもの。
ええ、この擬音は読んだ人にはわかります。わからない方は是非一読を。ちなみにこの擬音、思わず吹き出してしまった箇所です。この作品、全編通してコメディ色の強い内容で、笑いながら読んでいたらいつの間にか読み終わってしまうほどです。この軽快なノリで繰り広げられる会話劇は一読の価値ありです。
そしてセイをはじめとする登場人物の設定も素晴らしかったです。そのキャラクター造形はコメディだけではなく、意外な形の伏線として物語に関わってきており、読みながら「なるほど」と唸ってしまいました。このキャラクターの作り込み、お見事です。
全体的に下ネタが多い作品ですが、恐らく幅広い層に受け入れられるものとなっております。下ネタ好きの方はもちろん、そうでない方も是非読んでみてください!
これ程レビューに困る作品に出合う事は、そうそうあり得ません!
何処から触れても、何かネタバレになってしまいそうで、この作品を紹介する言葉に苦労させられます!
下ネタが含まれますので、そちらが苦手な方は兎も角、それらも含めてギャグ作品として非常に面白おかしく読む事が出来ました。
しかしそれだけでは無く、後半は想像以上に……ああ、言えない……。
誰が、何が、何処が、どれが、もう何から何までちゃぶ台をひっくり返す様な展開は想像以上です。
そもそも、タイトルから裏切られました。
てっきり魔王に何かを奪われて放逐された主人公が、それを取り返す為のシリアス物語かと思いきや、全く違う方向からのアプローチだったのですから。
それにあらすじの「健全なファンタジー」!その前に掛かれている事と矛盾してますよね!?ねっ!?
それだけ色々と詰め込まれているのに、作品として綺麗にまとめられているのには驚きました。
非常に素晴らしい作品でした!
物語で一番生き生きとしていたのは、あのおっさんさんではないかと密かに思う私なのですけれども。
それはさておき、物語の核心部分ではなかなかにどんでん返しのイベントが盛り込まれているご作品です。
もう読んでしか言えないのですけれど、「なるほど」と思わせてくれるまとまりの良さが確実にありますので読了をおすすめします。
コメディの世界観だけでは終わらない物語がお話のクライマックスに控えています。
笑いだけではない感情の揺さぶりが物語を物語としてくれています。
そして、タイトル通り「魔王に奪われたモノ」が始終関わりある物語だったのも好印象でした。
念のために補足すると常に楽しい物語です。だから、最後もハッピーになれる。そのようなご作品です。
プロローグの終わりは次をめくりたくなりますよ、と言って一読いかがでしょう。