終章 創作の意欲を維持する
ここまでで、動機を確認し、題材を発見し、物語の骨組みをして、山場を見出し、その解決を見出し、キャラを描き、配置し、世界観をイメージし、その伝え方も想定できました。
ラフスケッチは既に完璧です。あとは書くだけです。さあ、向かうぞ! ……と用意と気合だけで乗り切れるならば、誰も創作に苦労しないわけです。
創作は、長期間の集中を要求する趣味です。いくら好きでも、長い間やっていれば必ず意欲の下がる期間が出てきます。しかし、完成しなければ、その作品の面白味は激減するわけです。
場合によっては、飽きても続けなければ何も成せない、というハードルの高い事態になります。さて、そんなスランプにどう対処しましょうか。
この解決方法は千差万別で、このテーマだけで自己啓発本が書ける題材ですが、いくつかの方法を考えてみたいと思います。さて、筆が止まったら、どうすれば良いのでしょうか。
①問題を突き止める
今あなたはなぜ筆を止めたのでしょうか。その原因を明らかにしてください。そして、その障害を認識したなら、その解決方法を探ってください。そして、解決が思い浮かばなければヒントになりそうなことの周囲をぐるぐるしてください。ひたすら筆を動かしても、解決方法を思いつくかもしれません。
②疲れたなら休む
やるべきことは見えていても、テキストと向き合う気になれない。そんなときは多分疲れています。好きなものを食べて、ゆっくり寝てください。気分が上向けば、またやる気が起こるでしょう。
③自分を追い立てる
疲れてないのにやる気が出ない。なら動機の補強です。
小目標を決めて、ここまでやりきると決めましょう。ゴールが見えれば、そこまでは頑張ろうと気力が続くかもしれません。
締切を設けるってやつです。でも、無理しないでくださいね。
④詰まった部分を飛ばす
しんどい部分を考えるから詰まるのです。その先にあるワクワクするシーンを思い浮かべて下さい。何とかここを乗り越えて、そこまで書きたいと思えませんか?
ワクワクするシーンは思いつくたびにメモして、そんな楽しいチェックポイントをたくさん作っておいてください。自分の物語の劇場版っぽい宣伝用予告編を作っておくイメージで、勝手に盛り上がりましょう。
⑤何かに感動する
あなたが好きな作品に触れれば、あなたの創作意欲も再燃するかもしれません。ワクワクを思い出すのです。そして、そのワクワクをあなたらしく表現できるのは、あなたしかいないのです!
⑥書くまでのハードルを下げる
あのゲームクリアしてからやろう。明日は早いしやめとこう。週末になったらやるか。いや来月になってからの方が区切りがいい。これ読んでから……。
……すっきりしなくても、書けば筆が乗るときは案外乗ります。遊ぶのはバテてからにしましょう。すぐ小説を開けるように、PCのデスクトップに小説へのショートカットを置くのです。すぐ目につくようにするのです!
⑦書いているときのハードルを下げる
完璧に書くことなんてできません。プロだって「あれ?」って作品を書くことがあるじゃないですか。
「俺にはできねえ! もう筆を折る!」 そんなこと言わずに、その作品を仕上げてあげてください。もっと完璧な作品は次の機会に書けばいいじゃありませんか。次のあなたの作品はもっと良いもののはずですよ。
⑧致命的なミスがあっても、何とか終わらせる
書き進めるうちに致命的なミスを発見することもありますが、何とかしましょう。それをアドリブでうまいこと誤魔化すのも長編を書くのに必須スキルです。最初から全部想定するなんて無理な話ですよ!
気付かない読者だって多いと思いますよ。むしろ、つまづきで更新が止まるを嘆く読者の方が多いはずです。大股で歩きましょう。
⑨自分の書いてきた作品の、うまくいった部分を読み返す
そうすると、意外とうまく書けていると思いませんか! あなたはその先の位置にいます。そこは最前線です。今ならもっとうまく書けるかもしれませんよ。さあ、自己最高記録更新に向けて筆を執りましょう!
⑩公開する、知り合いに読んでもらう
読んでくれる人がいると、やっぱり励みになります。何となく認めてもらっている気分になりますし、続きを待ってくれているかも!とやる気になります。
未発表作に限る新人賞は限られた知り合いにしか見せられませんが、それ以外であれば、ウェブ公開を積極的にやっちゃいましょう。推敲は後からやればいいのです。
⑪批判はスルーする
自分でも納得いくご意見であれば、大いに参考にすべきなのです。しかし、感情的だったり、やっかみだったり、あまり読んでなさそうな批判意見はスルーでいいと思います。
好き嫌いは人それぞれですし、たまたま作品の相性が良くなかったのでしょう。その人の目が確かとも限りません。見た方の気分が悪くて感想もネガティブになったかもしれません。一見さんの批判は流しましょう。
⑫賞賛を大事にする
あなたの作品を読んでくれて、しかもペンを取り、感想まで書いてくれて、なんと肯定的な意見であった。これ以上励まされることがありましょうか。ウェブ上なら見ず知らずですし、作品だけ見て評価してくれたんですよ。
あなたの文章は誰かの心を動かしうるのです。過去の自分にそれが出来たのですから、今この先だって、誰かの胸を震わせられるのです。
大体はこんなところでしょうか。
とにかく完結まで書き上げることが財産になります。完結させるのと、させないのとでは、経験値の入り具合も感想の訴求力もまったく違います。
ですので、書き慣れないうちは、完結させられそうな長さの作品を想定してください。自分がどれくらいのペースで書けるか、どのくらいの期間その作品と向き合うことになるのか、そこを把握した上で、作品を綴るようにしましょう。
長い付き合いになりそうならば、思い入れの深いテーマを込めないと、気力が続かないかもしれません。思いつきで書きだした長編は一番挫折しやすいので、書き始める前にその魅力を再検討してみてください。
私の思いつきとしてはこんなところですが、読者さんは自分は自分で自分を元気づける方法を身に着けてきていると思います。でなければ、このご時世踏ん張れません。
自分が一番頑張れた時期を思い出して、そこに恥じないように、今の自分も奮い立たたせてみてください。
執筆が習慣付いてきたのなら、きっと完結までいけるはずです!
あなたの作品が納得のいく仕上がりになることを祈っています。
その一助にこの読み物が役立ちましたら、とても幸いなことでございます。
了
創作に親しむあなたに贈る10章のコツ 村瀬カヲル @etranger4
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