真夜中の訪問者
RAY
真夜中の訪問者
★
あたりは水を打ったように静まり返っている。
寝付けない僕は、何度も寝返りを打ってはため息をついた。
枕元のデジタル時計に目をやると、暗闇に「2:00」という、青緑色の文字が浮かぶ。
『この感じ……。この前と同じ……』
布団を頭から
静寂を破るように、玄関の方から愛犬・ジョンの「ウウウ」という
『やっぱり……』
ジョンが狂ったように
目を
しばらくすると、ジョンの声が聞こえなくなった。
喧騒が嘘のようにあたりは再び静寂に包まれる。
『来たんだ……。あいつが……』
これから起きようとしている出来事がわかるだけに、恐ろしくて
不意に背筋が凍りつくような悪寒が走った。
鋭利な刃物のような視線を感じる。ベッドの脇に何かがいる。
しかし、助けを呼ぼうにも声が出ない。金縛りにでもあったかのように身体がピクリとも動かない。
『今日はタダじゃ済まないかも……』
以前、その姿を垣間見たことがある。
闇の中で、
忘れたくても忘れられない。今でもはっきりと脳裏に焼き付いている。
荒々しい息遣いとともに、顔に熱い息がかかる。
あいつは、文字通り、目と鼻の先にいる。
決して夢なんかじゃない。
『神様、助けて!』
目を閉じてひたすら祈り続けた。
今の僕にできることはそんなことぐらいだと思いながら。
どれくらい時間が経っただろう。
噴き出した汗で全身がシャワーを浴びたように濡れている。
ただ、必死の祈りが通じたのか、部屋を覆っていた
枕元に目をやると、暗闇に「3:00」の数字が浮かんでいる。
『助かったんだ……』
そう思った瞬間、身体中の力が抜けて僕は気を失った。
★★
次の日の朝、前日のことを両親に話したが、信じてもらえなかった。「夢でもみたんだろ?」。そんな言葉で
しかし、今回のようなことが起きたのは三回目。しかも、ここ二ヶ月での話だ。
今夜、また同じことが起きないとも限らない。無事でいられる保証などどこにもない。
居ても立ってもいられなくなった僕は、近くの寺へ足を運ぶことにした。
非現実的だと言われてもいい。無駄な努力だと笑われても構わない。大切なのは、今、直面している事態を解決する
寺を訪れた僕は、ジョンの墓に手を合わせた。
RAY
真夜中の訪問者 RAY @MIDNIGHT_RAY
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