冒頭、祭り囃子の喧騒から切り取られた和室、詠まれる上の句と、秘された夏の月、水羊羹と簪の蜻蛉玉。夏の夜を涼む箱庭のような世界観。 そこで絶妙な距離感を演出した恋模様は、ほんのりと気恥ずかしい熱を感じる。 そして、ふたりの箱庭から祭りの喧騒へと彼と彼女は出かけていくのでしょうけど、描かれなかったからこそ、その二人にとって、誰にも明かしたくない大切な時間だったのかもしれない。 淡い恋模様を描いた秀作ですね。 これは、夏が巡ってきたらもう一度読みたいものです。
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