未だ未熟ながらも、圧倒的センスが光る作品
- ★★ Very Good!!
失礼なタイトルですいません、完全に自分のことを棚上げしてます。しかし、ここはあえてはっきり、自分が思ったことを書かせていただこうと思います。
まず、この作品にはセンスがあります。なぜ『この作者には』と言わなかったかと言うと、それは以前のハギワラさんの作品(自分が読んだものです)には無い、会話センスが存在するからです。正直、驚きました。軽快なテンポで送られる、コメディタッチの作風と、特徴的で個性的な主人公の存在。漫画コンテスト参加作品という面から見ても、とても良質な作品だと思います。
しかし、全体的に文章の作りが甘い、と感じるものがままありました。場面転換の際の描写不足や、いままでずっと主人公の一人称語りであったのに、いきなり別キャラクターの一人称語りに移ったりと、ムラがある点が目につきます。キャラクターの会話や性格も、どこかありきたりでいまいち魅力が掴みきれなかったりもします。これらの点は、ハギワラさんの作風に馴染める僕のような読者にはとっては些事かもしれませんが、そうでない読者にとっては、読むのが苦痛になったりするかもしれません。
また、これは完全に余計なお世話かもしれませんが、主人公の涼宮強のキャラクター性は、一部の人にとっては、嫌味に映るかもしれません。多少暴力的ですからね。僕からすれば、何の個性もない凡庸かつ面白みも無い、物語の奴隷のような昨今の主人公より、ずっと好感が持てますが。
簡単にまとめますと、いい点としては、主人公の特徴的なキャラクター性(個人差あり)と、独特のセンスがある会話や地の文。未熟な点は、視点、場面の描写不足や、キャラクター性の『どこかで見たな』感。完全に僕個人の意見ですが、こんな感じです。
なお、描写不足の問題点は、ハギワラさんが小説形式の書き方が向いてないから、で説明できるかもしれません。個人的には、『デットエンドで終わらせねぇ!!』は面白かったので、もっとこんな作品を読みたいところですが……そこから先は、僕が口出しすることではありませんね。
今後とも、陰ながら応援させていただきます。