第43話 ヨミー大賞佳作入選
郵便局を辞めた私は図書館司書を目指すべく、勉強に励むことになった。しかしやっぱりバイトぐらいはしないと駄目だろうと思い、書店でバイトをすることになった。バイトといっても一日三時間~四時間程度のバイトだったが、図書館司書の勉強に時間を割かないといけないことを考えると、それくらいがちょうどよかった。
その一方で私は小説の続きを書かねばならないと思っていた。あの例のダークファンタジーである。いつまで経っても終わらない物語に、私は苛立っていた。その一方で小説家になりたい、なりたいって言ってる自分に才能があるかどうかが、さっぱり分からなかった。本当に自分に才能はあるのか?そう言いつつも、終わっていない物語では賞に応募することもできない。
それなら、短い物語でもいいから完成した物語を応募すべきだと思うようになっていた。
そうしてちょうどその頃たまたま手にとった読売新聞に「ヨミー大賞」という賞の募集があったのだ。そもそもヨミー大賞というのは、読売新聞のイメージキャラクター、ヨミーを題材にした文芸、絵画作品を募集したものだった。
私はなんとなくそれを見つけ、とりあえずこういうのでもいいから出してみようと思ったのだ。
しかしヨミー大賞の募集は童話だった。今までずっと長編ばかりを書いていたので原稿用紙5枚以内という規定枚数は私の中ではある意味未知の領域だった。その短い枚数に収まるような物語、それはどんな物語だろう。その一方で今回の主人公は自分のオリジナルな主人公と違い、ヨミーという主人公が既にあるわけである。どうやったらこのヨミーが作品の中を動いていってくれるか、非常に困ったわけである。どう転がっても思いつかない、そう思った時、脇キャラが必要なんじゃないかと思い当たった。
脇キャラ、そばにいるもの、そばに…。そう思った時、ふとミミのことが浮かんできたのだ。いつもそばにいたミミ。散歩の大好きだったミミ。そうだ!脇キャラに犬を出そう。とたんに閃いた私は、喫茶店でその短い童話を書き上げ、いそいそと応募したのである。
そうして12月に、入選内定のお知らせが届いたのである。
私はヨミー大賞の文芸部門の佳作に入選したのである。
私はその通知を手にとった時、泣いた。なんだか分からないが泣けてきたのだ。私の文章が認められた。その喜びが涙となって表れた。駄目じゃないかと思っていた文章が認められたことは、私にとって大きな収穫となった。
そしてミミに感謝した。この童話に出てくる脇キャラのモデルは間違いなくミミだった。ミミと歩いた日々が童話に反映されたことはこの上なく嬉しかった。ミミもそう思ってくれればいいなあと思いながら、私はこの喜びをかみしめたのだった。
ミミと私と佳作入選 はやぶさ @markbeet
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