とりあえず泣いた、ということで。(劇中にそういった描写がある、ということではありません)不思議と爽やかな読後感と同時にこういったファンタジーが書ける作者への憧れといいますか、そうなりたい、と心底思います。年齢、性別、読み手書き手問わず、多くの人に是非読んでほしい、そんな作品です。
ゲド戦記より『竜王』の称号についておぼろげながら抜粋。埋もれっちまった悲しみにから来ました。旅する少女と竜の不思議な関係を描いた作品。カクヨムでは珍しい純正ファンタジー世界観と、上品で美しいストーリーテリングを堪能させていただきました。読み終わった後で『竜王』の称号についてゲドが語っていたのを思い出しほっこりしました。原文だとdragonslayerですが、この称号は『竜を倒せる者』ではなく『竜と対等に話せる者』に与えられる名誉。ゲドならばアイシャもまた竜王になったと言うでしょうね。
とある事件がきっかけで故郷を失った少女と黒竜が出会い、お互いの目的を果たす為に、足りない物を補い合いながら旅をする。根本的な考え方、価値観、そもそもの寿命が違うヒトと竜は、自覚なしの憎まれ口を叩き合ったり文句をつけあったり、決して仲良しな雰囲気でないながらも信頼して共に生きていきます。小柄な少女と黒竜の凸凹コンビの旅が行き着く場所を、ぜひ見届けていただきたいです。
右目の視力を失った竜の青年と、左腕を失った少女が互いに支えあいながら、竜(人)探しの旅をする物語です。ハイファンタジーがお好きな方はきっと垂涎ものかと。高貴なたたずまいで知的な青年と、どちらかと言えば直情的すぐに行動に移すような勝気な少女の正反対コンビが良い味を出しています。とても面白くて、個人的にすぐに終わってしまったのがもったいないくらい。素敵な物語です。
竜と人の正統ファンタジー。竜のジーヴをはじめとする、世界の描写ひとつひとつが丁寧で「ああ、こういう世界で冒険したいなあ」という、少年の心的なものを掻き立ててくれる、世界の広がりを強く感じました。雰囲気が抜群です!
コンテスト用なので中編のサイズで、きっちりと完結しています。面白そうな世界なだけに残念。あまりにちゃんと完結していて、続編を書くのは難しそう。もう少し長いサイズで読みたい作品です。
読んでる途中で、ちゃんと話が完結するんかな、などと疑わしい気持ちもいだきましたが、まさかの急展開!すべての謎が明かされ、なっとくのエンディングまで一直線です。筆力も高く、読者を楽しませることに主眼を置いた立派なエンタメ作品だと思います。