🔥42話 …甲斐へ ※真田幸隆、キョウ、長野業正、鷲塚佐太夫、望月千代女、平賀源心、武田信玄、出陣🔥

 「それ、マジで!?」

 


 「マジです!!」



 業正から返事が返ってくると何かを幸隆は思いついたように「あと、関東管領かんとうかんれいに尽くす理由ってなんなんすか?なして、あのポンコツと仲良くするんすか???」と、ド直球の質問を業正に浴びせた。


 業正は、少し目線を上にすると「昨日、関東管領こと上杉憲政うえすぎのりまさ様は八分ノ一ほどの兵力しかない北条軍に負けました。準備を怠らなければ、必ず勝てたのに。バカなお方だ。そんな人についていこうとしている僕は、もっとバカです。僕は学問が誰よりもできていました。でも、幼い頃は血が怖いというだけで周囲にバカにされてました。そんなとき僕に優しくしてくれたのが現・関東管領の上杉憲政でした。」としみじみと言った。


 幸隆はそんな業正をマジマジと見ながら「尽くす人を間違えたましたっすね。」と言った。


 業正は、そんな幸隆をちらりと見ると「甲斐かいの現国主の武田晴信たけだはるのぶは、尽くすにあたいすると思うんですか?」と尋ねた。

 

 幸隆は途端に凛々しい顔になり「わからねぇ。でも、あの見るからにヘタレそうな関東管領よりはマシだろ。なんせ、俺の恩人、平賀源心ひらがげんしんを討ち取った男だからな。」とはにかんだ。

 

 業正はニッコリと笑い「それは失礼な男ですね。そして、期待しています。キョウ君、佐太夫君。この真田幸隆をよろしく頼みます。」と佐太夫とキョウに頭を下げた。


 業正に別れを告げると幸隆たち一行は森の中へ入り上野の国境までむかい、幸隆は「ここまできたら案内人がいるらしいが。」とキョロキョロしながら案内人を探した。

 大木の横に武田方の忍び千代女ちよめが幸隆、一行を待ちわびていた。そして、彼女はおもむろに前へでて「佐太夫、久しぶり。」と言うのであった。

 佐太夫も前へ出て「千夜女、キレイになったな。」と言って笑った。

 千代女は帆を赤らめて「佐太夫もカッコよくなったね。」と言うのであった。

 キョウは、それを遠目で見て「......出会った頃の私たちみたい。」と苦笑いをした。

 それを受けた幸隆は真顔で「知らず、知らずのうちに扱いが雑になっていくのが夫婦だ。俺がワルい訳じゃないぞボケ。」と言うのであった。

 そんな中、千代女は爽やかな笑顔で「皆!!ついてきて、甲斐の道はこっち。」とハツラツと声をあげた。



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笑って泣けて熱い戦国譚🔥~真田戦国伝~ ふぁたけ @sanada3dai

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