知っているという事。それは大事な事です。知って下さい。

私にとってうつ病とはなかり深い関係にあります。だから、この作品を読んでいて気分が悪くなったり、吐き気がしたり、涙ぐんでしまったり、苦しくなって感情の持って行き場がないほど不安になったり、怒りを露わにする場面も多々ありました。
うつ病はあまり知られていない病気だし今の私に全てわかっているのかと問われれば悟った顔はできません。
一番近いのは主人公の母の様な気持ちでしょうか。心の内を吐いて出し切ってほしいと。何を求め何が嫌なのか。我慢せずに全て吐き出して欲しいと思う。それは親であれば当たり前の事だろう。
けれど、それが簡単に吐き出せるのならそもそも病気になんてなっていない。そこに至るまでにどこかで毒づいてストレスを発散させていただろう。
心の病気は目で見えない。血液検査でもレントゲンでもCTスキャンでも心電図でもどこを診てもらったって何にも出ない。治っているのか悪くなっているのかもわからない。頼れるのは診察している主治医の先生だけになる。だからといって信頼できる主治医出会うまでも時間がかかる。
信頼のおける主治医に出会い、家族が病気に理解を示し、金銭的な縛りがなくなって始めて人は治療に打ち込む事が出来る様になるだろう。

これはそういうお話だろう。うつ病が軽度であれ重度であれその他の精神的疾患であれ、そういうことなんだと思う。
こういう作品が広まって少しでもスタートラインに負担なく立てる人が多くなります様に。そう願わずにはいられません。

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