第5話 目覚め

No.66と書き換えられた扉を開くと、そこは玄関ホールのようなとても広い場所だった。


しかし出口らしきものはなく、そのかわりに大勢の老若男女が座り込んで何かを作っていた。

近づいてみると、大きな正方形の平べったい機械の上に乗って何かをはめ込んでいる。正方形の機械の表面はでこぼこしていて、小さな色の付いたブロックで文字と、それより大きく数字を浮かび上がらせていた。


「これが出るための道具かもしれない・・・」


そう思った私は、その人達に混じって一緒に作った。

ここへ来てこんなにたくさんの人に会ったのが初めてで、さらに「帰れる」という希望が見えたことで私は高揚していた。


できあがるとかなり大きなもので、そこにいた20~30人全員が乗れるほどだった。

「これをどうするんですか?」

「これに乗って、元のところへFAXしてもらうんだよ。」

近くにいた年配の男性が答えた。

人が集まって作業していた時は見えなかったが、先のほうに筒状の、まさにFAXの送信部分のような細くて狭い隙間のある機械が設置されていた。


不思議なことの連続で、私はさほど驚かず他の人がするようにそれに乗り込んだ。

「さぁ、行こうか。」

機械が動き出す。

私達の体はゆっくりと隙間に向かって運ばれていく。

少しドキドキしてきた。

そしていよいよ・・・・




ここで目が覚め、お話はおしまい。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

No.66 清水円 @Mondenkind

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ