なかなかによく出来た作品です。手段を奪うことで確実に犯罪を減らしていく。しかし残された手段でやはり人は人を傷付けようとする姿に、狂気を感じました。しかしまた、それが人間らしいと言えばそうなのですが。 私の好みの内容、テーマでした。 何でも取り上げる、それは決して情操教育ではない。なんて裏テーマもあるんじゃないかなぁ…というのは、考えすぎでしょうか。
ホラーです。底冷えのするような、恐怖を感じます。でも、この話にあるような事は、本当に非現実なのか?比喩的表現と見れば、現実社会にいくらでもこの例は探せるのでは?特に成長過程の精神発達において、害悪とされるものは徹底的に排除されつつある現代の傾向を見るにつけ、そんな事を思わないではいられなかった。
最後はそんな言葉で終わりそうです。ホモサピエンスの物語は。
目には目を、歯には歯を。その理論をとことん追求したら……という、たらればを表現した一作でございました。手足を失えば暴力は無くなり、目が見え無くなれば苛立ちとも無縁になる。しかし、倫理や人道を無視して作られた無暴力は果たして平和に繋がるのか。ホラー要素だけでなく、現実的な問題と言う側面として受け止めて考えてみるのも一つの手かもしれませんね。最後の一言は疑問を呈した彼(もしくは彼女?)に対するものか、それとも悪口をぶつけた人に対するものか……。中々に興味深い締め括りでございました。
全ての暴力を、世界からなくすために。語り過ぎるとネタバレになってしまうのでできませんが、非常に恐ろしかったです。
自由を失う事で不自由を感じない世界。昔からホラーに使われて来たネタですが、いつ自分もそう思ってしまうかもという不安に苛まれます。ならばいっそ、不安を取り除いちゃいましょうか。
人間存在とは何か、を追求し、割り切れない概念をつきつけてくる不気味な寓話。「ホラー」というジャンルの無限の可能性を見た思いです。