ひとつ屋根の下に暮らす、男性二人に女性二人。四人は二組のカップル。ただ、同性同士の組み合わせであった……
この物語は前作があります。ただ今作だけを読まれても、充分堪能できます。とても、とても素敵な恋愛小説です。
同性同士のカップルなんて、と色眼鏡で見てしまうことはありませんか? この物語はそんな色眼鏡を優しく取り払って、「人を愛すること」の素晴らしさを丁寧に語ってくれます。決してキワモノの、興味本位で描かれた物語ではありません。
異性を好きになり子孫を作ることは、私たちに与えられた義務です。人を好きになる、それが同性であったことにより、義務が果たせなくなるかもしれません。でも私たちには義務も大事ですが、「ひとりの人を愛する」権利は持っているはずです。それが同性であったとしても、その二人の権利を奪うことは誰にもできません。
二組のカップルの行く道には、障害もあります。順風満帆ではありません。だからこそ手を取り合って乗り越えていく姿に共感し、感動することができます。書き手の優しさが読み手の心を温かくしてくれます。
この物語をご覧になれば、きっと明日から人を見る目が変わってくるはずです。
愛という最高のフィルターが、心に装着されたのだから。
LGBTの方って13人に1人もいるんですね。それぞれ苦労されているんでしょうね。こういう小説は広く読まれて、世間の理解が深まると良いですね。
この作品は三部構成になっており、「探して」が恋愛物語、「ただ中で」が途中のアクシデント編。そして、本編が現実的な帰着点となっています。
必然として、本編では、作者が色々と調べ物をして、それを作品に織り込んでいるので若干肩苦しいトーンになっています。既婚者なら理解できると思いますが、恋愛時期は楽しいけど、婚約前に相手の親に挨拶する段になると憂鬱になるというプロセスに似ています。だから、本編単独でも楽しめますが、1作目から読むことを勧めます。
ちなみに、私は若い頃、口説き相手の減るレズには反対で、競争相手の減るゲイには賛成でした。結婚してからは、どうでもよくなりましたが。
読了後の今は、子供が同性の婚約者を連れてきたら、自分はどう反応するだろうか?と考えています。
LGBTに対する、社会の凝り固まった偏見の目や法律の不備に、四人の男女が立ち向かいます。
前作「ほんとの春を探してみたら」と「ほんとの春のただ中で」に続く第三弾ですが、前作を読まれていない方でもこの作品は読めますし、読んで欲しいと思います。文章はとても読みやすく描かれていると思います。
時間がなければ、冒頭の『はじめに』だけでも良いかもしれません。
私はセクシャルマイノリティーではありませんが、人を愛する権利は皆平等に与えられていると思います。LGBTの方々への社会認識が良い方向へ向かっていくことを願います。
物語はまだ途中ですが、今後どのようになるのか気になります。