あの悪夢めいた体験についてこうしてレビューを記すにあたり、私は言いようのない恐怖と、そしてそれに相反する密やかな憧憬を抱かざるを得ないのだ。
その時確かに私は、投稿作品がしのぎを削るあの殺伐たるカクヨムを離れ、平穏と安寧の象徴たるGoogleで静養を兼ねた検索を行なっていた。しかし創作の一助とすべく「アザトース」を検索した私の眼前に立ち現れたのは、信じがたいことにかのseal先生が著した『初めてでもよく分かるクトゥルフ講座』であった。各種wikiを、さらにあのニコニコ大百科を抑えGoogle検索結果3位にカクヨム作品が表示されるという常軌を逸した事態に己が正気を疑ったものの、しかし私が幾ばくかの不安とそれを上回る好奇心に囚われそのページを繰ったことを責める者はいないであろう。
だがしかし、ああ、神よ! なぜ私はあの作品を! 私がそこで目にしたのは、それまでの異常を凌駕する驚嘆すべき内容であった。それはクトゥルフ作品原点のみならず、パソゲー、TRPG、ラノベ、あるいは萌え萌えクトゥルー神話辞典といった偽典に至るまで網羅した、クトゥルフ創作界隈の最奥に至る悍ましき書物だったのだ。さらに原作における矛盾点に対する叡智に富んだ示唆、創作者の目から見た神話生物利用の有用性の考察、旧支配者に対する後続作家の解釈余地への言及。クトゥルフ作品に対するその全能にも思える造詣の深さにうたれ、私は憑かれたようにその講座を貪り読んだ。だが私は気づくべきであった。人智をはるかに凌駕した知性のみが、そのクトゥルフ創作の秘奥書を書かしめるということに。全ページを読了した私が混沌とした悪夢の中で見たものこそは、空間が無意味な六角形となり時間が連環の果てに至るかの玉座に座す強大な知性体であった。私は理解した。あの『初めてでもよく分かるクトゥルフ講座』こそは、神性たる知性体が我々人類の精神を蚕食すべく伸ばした触手の先端であったのだ。
悪夢から目覚めた私は、このカクヨム作品に対する警句を発するためにこのレビューを記す次第である。私があの悪夢から目覚め一欠片の正気を宿すうちにこのレビューを書くに至ったことは、カクヨムの存続に対する大いなる幸運と、
馬鹿な。信じられない。
なんてことだ。
私は、私は講座を読んで、レビューを投稿しようとしただけなのに。
どうして! いや、そんな!
ああ! 星が! 星が!
濃い!!
これは、クトゥルー初心者の方から玄人の方まで感じる、本講座の感想のはずだ。
講座というタイトルなだけあって、物凄く分かりやすいクトゥルフ神話の解説がしっかり行われている。
しかも創作に使いやすいネタや要点がまとめてあるため、読者側からも作家側からも嬉しい講座なのだ!
そしてなにより、作者のクトゥルー愛がぎっしり詰まっている。
ケモミミ山羊角子連れおっぱい
白髪天パ、レッドアイ、天然ボケ気味だけど芯は強いタイプの姫君
釘宮声のショタ
邪神はおろか、人間の美女やロリとも子作りするエロ漫画からの刺客
全て、本講座からの解説一部抜粋である。
そこの君、少し気になっただろう。
読みなさい。
個人的にはケモミミおっぱいと白髪天パのレッドアイ天然姫君(芯が強くても犬が怖いとなお良し)とかとても良いと思います。
エロ漫画からの刺客は「なんだこいつ羨ま……」って思います。
そんな風にこの講座を読んで思えてきたら、
あなたにも素晴らしいクトゥルー愛が芽生えてきた証拠。
きっと、もっとクトゥルフ作品が読みたくなる。
もっと書きたくなって描きたくもなる。
ゲームもやりたくなれば、アニメも映画も見たくなる。
知れば知る程に、SAN値がガリガリ削れる快感が病みつきに。
そんな魅力たっぷりなクトゥルフ講座をぜひ読もう。
そして読んだらご一緒に!
いあ!いあ!くとぅr
(手記はここで途切れているようだ
ついこの間チャールズ・デクスター・ウォードという青年の身に起こった神妙怪奇にて不可解な事件のあらましを読破したクトゥルフ初心者の若干SAN値が減少気味の脳髄に浸み込む文章たちであった。
うん。これ以上書くことないです。 はい。
もう少しまじめにレビューしますと、これほどクトゥルフ神話について正確かつダイナミックにまとめたエッセイは他にないと思いました。
クトゥルフをよく知らない方々も知ってそうなニャルラトホテプのようなメジャーな存在から、クトゥルフ初心者は知らないであろうアイホート、筆者もマイナーと表現しているクァチル・ウタウスなど、クトゥルフ神話のキャラクターたちが軽妙な文体で分かりやすく解説されています。
また、ところどころに筆者独自の解釈が展開されていたり、やたらとTRPGの卓を囲ませようとしたり、かわいい邪神ヒロインが出てくる小説を所望したりと、ただの解説にとどまっていない点も高評価です。(ここは好き嫌いが分かれると思いますが)
そのため、筆者の言葉を借りますが、これからクトゥルフを知ろうとする人は、このエッセイからとっかかり、筆者の作品を読み、興味の出たエルダーゴッドなりグレートオールドワンなりを調べてみればいいのではないでしょうか。
そして、宇宙的恐怖により正気度を減少させ、旧支配者を崇めればよいのではないでしょうか。
そして、「死せるクトゥルフがル・リエーの家で、夢見ながら待っている」という言葉を原作通りに暗唱できるようになるといいですね!
とにもかくにもこんなレビューなんか読んでいる暇があるなら筆者の作品を読んでください。話はそれからだ。面白いぞ、これ。
クトゥルー、クトゥルフ、クルウルウ、ク・リトル・リトル...ええい、なんでもいい。
クトゥルー神話は、名前を聞くことはあっても、「なにそれ(興味なし)」とか「難しいからスルー」されることも多いジャンルである。
仮に興味をもった相手から聞かれて、それを一から説明するのは正直言うと、苦行であり、面倒である。
ほら、ラヴクラフト的~とかダーレス的~とかの宗教戦争もあるしさ。
そこを乗り越えて解説するのは愛しかない。愛。
邪神に貪り食われてもいい、精神寄生体に憑依されてもいい、死ぬよりつらい永劫の苦悶にさらされてもいい、それくらいの愛。 邪神愛。
ここにはそれが満ちている。クトゥルー神話の解釈なんて人それぞれだが、この講座を読めば十分だ。
あとは各自で周波数を調整しておけばいい。ギギガガピー
また、このサイトにはクトゥルー神話をモチーフとした良作がいくつもある。そこへ行って自分なりの神話を再構成するのもありだ。
このエッセイの作者はミ=ゴ様に目をつけられて、宇宙旅行をプレゼントされるでしょう。(脳だけ缶に入れられた状態でだが)
完結おめでとうございます!
『クトゥルフ=恐怖と異形』というイメージしかなかったのですが、この作品を読んで、正確には作者の説明力で今までの考えが払拭された。読んだ後に、クトゥルフについて調べると「やっぱり怖いじゃねえか!」と思ってページを閉じてしまうのですが、クトゥルフに興味がない者に『そこまでさせる、その気にさせる』のは、文章のスキルが優れているからだと思う。この作品をキッカケにクトゥルフが好きになるかはともかく、少なくとも読んでいる間は嫌いになることはない。タイトルと他の方のレビューにもあるとおり『クトゥルフの初心者入門』であると同時に、『怖くないクトゥルフ体験、おためし版』に最適です。
イアイアイア!やら窓に、窓にやら、世界屈指のコズミックホラー、クトゥルフ神話。その呪われし祝福を得るための第一歩に最適な講座がなんとここに!
クトゥルフの何がいいかって、そもそもが設定共有のためにあるということ。誰もが自分のための邪神を使って構わないよ、という素晴らしいシステムがあるのです。
この講座では、クトゥルフ神話に名を連ねる神話生物たちの大まかな特徴をわかりやすく伝え、掘り下げるための取っ掛かりを用意してくれます。シリーズを読んで、気になるのがいれば、そこから更に掘り下げていけばいいのですから。
但しお気をつけて、貴方が掘った穴は、そのまま貴方を埋める墓にもなるのですから。
さあ、恐れないで。貴方も闇と狂気の世界へ踏み出しましょう?