謎の不安感を残す『思考実験』。彼らは何も明らかにはしない。

主人公である、足の不自由な少年『涙』と双子の妹で重篤なブラコンの『泪』。

事件に巻き込まれる体質の泪が出会った事件の顛末を、部屋の中で動けない涙が耳にする事で物語は進みます。
涙が何かをする訳でもなく事件の捜査は進み、物語の中で事件は解決します。
しかし、現場に居ないからこそ涙は思考を巡らせます。

自身の考えが偏る傾向にあるのを自覚しつつ、彼が行う『思考実験』。
その解決は正しかったのか?
黒幕の存在やミスリードは?

涙の類推が正しい証拠はひとつもありません。これはあくまで思考実験という名の空想なのです。
しかし、読後感に漂う不安感は。

ただ、ミステリアスであること。
それがミステリーの原点であるとするならば、この作品ほどのミステリーには中々お目にかかれないのではないでしょうか。

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