癒しの国のアリス

癒しの国のアリス

───どこからか少女の押し殺した哀しい泣き声が聞こえます

微かな微かな苦しそうな泣き声───




そこは荊の中。


少女は荊の中で泣いていました。


閉じ込められたのではなく、自ら閉じこもってしまったのです。


心の闇に苛まれ、荊という檻に閉じこもって泣いていました。




遠くから声がします。



『アリス……アリス……』



優しい男性の声と足音。



目の前で止まります。


無理矢理荊を抉じ開けようとします。


どんなに傷ついても手を止めません。


次第に【アリス】の姿が見えてきました。


手を血だらけにしてまでも抉じ開けたのは……。


縞々の耳と尻尾のある、【アリス】と同じくらいの少年。




『やっと見つけた。』



【アリス】は泣き腫らした顔をあげます。



『さぁ、みんなが待っているよ。』



【アリス】はすぐに下を向いてしまいます。



『大丈夫、俺がついてるから。』


血だらけになった手を軽く拭くと【アリス】の手を掴みます。



『行こう、【アリス】お茶会が始まるよ。』



【アリス】は手を引かれるままにそこを出ます。


少し歩くと賑やかな声が聞こえます。


少し手前で燕尾服をきたうさぎの耳の青年が待っていました。



『【アリス】お帰りなさい、さぁお茶会を始めましょう。』



少年に連れられ、一歩踏み出すと……。


帽子屋、三月ウサギ、眠りねずみ、ハートの女王たち面々がいます。


【アリス】を見るや否や、口々にいいます。



『『『お帰りなさい、【アリス】』』』



【アリス】は……。



『ただいま……。』



目を腫らしつつも、笑顔になりました。






───さぁ、あなたには物語たちに隠された真意を受け取って頂けたでしょうか───



一度、物語は閉幕です。

ご観覧ありがとうございました。


~終幕~




Who is the next of Alice?

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微睡みの国のアリスたち 姫宮未調 @idumi34

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