夢のあとに
──みんな寝たかしら?
「ああ、ひとしきりさわいでな」
──そう、みんな元気で何よりだわ。ふふ。
「母さん、アリスに何かしたろ?
興奮してたぞ」
おおきなアンティークの鏡に向く。
──あらあら、そんなに楽しかったのね。
「あんまりアイツらに力使うなよ」
──だって、アリスが寝ようとしないんだもの。
「だからって、絵本の世界に意識を送ることないだろ? 」
──でも、あの子は選ばれたアリスなのよ?
「だとしても、まだ小さい」
──うふふ、優しいお兄ちゃんね。
「いづれ絵本の旅をしなきゃならないだろうけど、今はまだ……」
──ねえ、セバスチャン? アリスはね? たくさんいるの。
「知っているさ」
──アリスの数だけ物語があるの。
「それも知っているよ」
──あの子にも、あの子だけの物語を紡ぐ使命があるのよ。
「分かってるって」
──それまで、守り続けてね。あの子の
「わかっているよ」
──……あの子たちをよろしくね。
声が消える。
「……なあ、母さん。あんたのアリスの役目はいつ終わるんだろうな」
『小人の国のアリス』fin
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