テンプレート論の大切さ

制服着せてれば楽だなあ、と服装描写のとき考える事がある。
こだわるならその制服も襟がどうの身頃がどうの柄や色がどうのタイの長さがーーと延々続けられてきりがないわけだが。

この作品で書かれるコツは、文学的な作品の登場人物と言うよりは、ラノベ的なキャラの服装における傾向を統計立てたものだろう。
ポピュラーな種類の服の特徴をかいつまんで、かつ、そこから受ける印象も教えてくれるわかりやすさ。
そして描きたいキャラに合わせてこれらをどう組み合わせれば良いのかまで指南してくれるボリューム。
実際に描こうと思えば、服の名前やシルエットだけではなく、素材、縫製、柄、ブランド、ニットの編み方(大雑把に言ってもハイゲージ、ローゲージなどある)、等知っておいた方が良い知識は尽きないし、また、これら知識の中のどれをどう言った表現で切り取るのか、ということも(話者のキャラクターを描くなどの面で)大事になるだろう。
書くために知識がいる事は何もファッションに限らないのだから、それは各々で深めていけば良いだけの話だ。

その点で、この作品はファッションを書くための足がかりとして、非常に心強いと思う。同時に、私は今まで深く考えずに書いていたことを思い知らされた。これからはもっと踏み込んで考えながら書いていきたい。
また、二次元美少女の私服を統計立てて丁寧に詳しく書かれた作者の力量に脱帽する。

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