5#妹のジフたんの決意

 「たまには、拙者の巣にも遊びにきてよ!○○たんの風船だけでなく、他のキャラの風船もあるよ!」




 「だーーーめっ!!」




 「何で?」




 「だってーーー!兄者の巣はゴム臭いんだもーーーん!それに・・・」




 「それに?」




 「あの巣、母上を思い出すのじゃ・・・」




 ・・・そっか。でも拙者より誰より巣立つのが早かったからなあ・・・


 

 ・・・母ちゃんに一番甘えていたからなあ、妹・・・相当な『覚悟』があったんだろうな・・・



 ・・・母ちゃんが、人間の『カラス駆除』の犠牲になってこの世にいないという『事実』を忘れたいんだ・・・




 「兄者も、そろそろ『親離れ』した方がいいんじゃないの?母上の巣を使いつづけるのもいいけど、いつまでも『母上』の重力にひかれたんじゃね。」


 「・・・・・・・」



 

 ・・・妹のジフはえらいよ。親元を遠く離れて、この人間とかいっぱいの都内で細やかに・・・でないか・・・



 

 「おおおおおお!!!!!!我の○○たん!!」

 

 妹ガラスのジフは、翼でジフが膨らませた○○たんの風船を抱き締めていました。



 

 「じゃ、妹に出逢えたという気持ちで、むねはいっぱいだよ。じゃあね!達者でな!また来るぞ!あいるびーばっくっ!」


 「我も、兄者に逢えて嬉しいぞ!栄光を君に!」




 夕暮れのそら、あの『歯』の巣に戻っていくジョイ。


 

 

 「拙者と、妹がいて、あと5羽の兄弟。この同じ空の下。どこかで達者に暮らしてるんだろうな・・・逢いたいなあ・・・」 




 その夜、兄カラスのジョイは夢を見た。


 


 母ちゃんが持ってた、黄色い風船。


 

 

 風船に怯える、妹のジフと兄弟。



 

 そして風船にみとれる、兄貴のジョイ。



 

 皆巣立っていって、ジョイだけ取り残された時、母ちゃんが飛ばした、緑色の風船。




 「あの風船のように、遥か向こうに、自由に飛びなさい・・・!」




 ・・・母ちゃん・・・



 

 ・・・・・・・



 

 翌日。



 

 「○○たん・・・、○○たん・・・むにゃむにゃ・・・」



 アキバのジフは、半ば時が経って空気が抜けきた、○○たんの絵の風船に囲まれた巣で涎を垂らして、眠りこけていた。


 


 バサッ・・・バサッ・・・




 そこに、『おたく』カラス仲間のアクロンがやってきた。




 「んちゃ!ジフたぁん!今日もいつ見てもきゃわわわ!」


 「あっ!アクロンどの!また、我の『絶対領域』に・・・!」


 「ねえ~~!ジフたん!こんなに○○たんの風船あるなら、俺にもちょうだい!」


 「いいけど・・・あっ!これだけはだめ!我と、○○たんの『愛の結晶』だよ!われの息入りだよ!」」


 「でも、いちばんて大きく膨らんでるのがいいし・・・いいでしょ?ジフたん!」


 「じゃあ、うぬが膨らませいいじゃん!これ!膨らませてないのあるからさあ!」


 「うふうん!萌えーーーー!『キス』しちゃいたい!」

 「うわー!嘴たてるなぉ!嘴たてるなぉ!」




 プスっ!




 パァーーーーン!!!!!




 ・・・・・・・




 「あれ?どっかで、風船が割れる音が・・・まいいか。」 


 兄カラスのジョイは、再びジェット風船づくりの『母上』の巣で、鼻提灯を膨らませて眠りこけた。

 




 ~FIN~

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風船割りカラスジョイの伝記外伝・風船割りカラスジョイと妹のジフ アほリ @ahori1970

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