交霊、霊媒、エクトプラズム。
この手のネタをうまく扱えるひとは、なかなかいないはずです。
内容自体は流れるように流れ、帰結するべきところに帰結できたところでしょうか。
繊細な描写が光り、ヒロイン同士の確執は途中まで読む人を選ぶところがありますが、
――僕は大好きです(´・ω・`)!
この手の内容を下手に扱うと、抽象性の海に、僕なら沈めてしまいます。
そこをもうね、大胆にわりきって心霊現象描ける著者様の倫理観の持ちようと勇気には、非常に感服しました。
ちなみに僕は第六感の持ち主なので心霊現象は共感できるところが多々ありますですかも……?>
まあ自己喧伝はさておき、文体は本当に丁寧で、登場人物らの内面を決しておろそかにしないで書ききったことは、ほんとうによく頑張ってくださった……、いやもう……、文学としては間違いなく、完成品だと思う――。
本当にいいものを読ませてもらいました、ありがとうございます。
舞台は高校。一年前に従姉を事故で亡くした、やや性格の曲がった嫌われ者の少年が主人公。
そんな彼の前に現れるのが、彼に幽霊が取り憑いていると主張する少女と、かたや幽霊などあるはずがないと主張する少女。
クラスメイトである二人の少女の出会いを切っ掛けに、彼は彼女たちと従姉の死の真相を追うことになる。
一人称で語られる主人公の性格は少し癖があって取っつきにくく、最初は読み手を混乱させるかもしれません。
しかしながら、物語が進み謎が明かされ、彼の心情が解るにつれてそれもなくなっていきました。
不器用ながらも悩み苦しみ、足掻く様は青春そのもの。
真相を知り、自分の中に確固たる真実を築くことで成長する登場人物たちの姿は美しいと思いました。