とにかく引き込まれるんです。引き込まれて、感情移入してしまう。読んでいる間、読者はこの私小説の主人公になる。だからある意味読者が「おれひとり」というのは事実なんですよね。素敵です。
もう書かない。
時に静謐に、時に荒々しく綴られる『過去からのボトルメール』。著者の生活の内に抱いた抒情が美しく、一日、また一日と書き散らされる。そのベランダで書かれる最後の話まで、私は読んでいたい。
(*追伸)この男、勝手で わがままにつき。いつ、何処にでも 行ってしまいそうでずっと、此処に 籠っていそうで 掴み切れない 現代に 迷い込んでしまった男。時代錯誤で、郷愁病で、ナルシ…続きを読む
コツコツ、と。心を軽くノックする作品。ガツンとした衝撃もなければ心を踊らせるわけでもない。包み隠さない、灰色の文。ちょっとだけ周りを細かく見つめて感傷に浸る。自身を気取らない。けど純文学気取りの…続きを読む
静かに流れる日常を淡々と描く。それだけと言われればそうだが、これが出来る人間がどれほどいるだろうか?ググッと引き寄せられる文体。読んでいて心地いい。
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