とにかく引き込まれるんです。引き込まれて、感情移入してしまう。読んでいる間、読者はこの私小説の主人公になる。だからある意味読者が「おれひとり」というのは事実なんですよね。素敵です。
もう書かない。
夜風の吹くベランダで、1人佇む青年の姿が見えてくるような作品。純文学も私小説もあまり詳しくないですが、この夜の空気感になぜが惹かれます。何か劇的な出来事や事件が起こるわけではないですが、心に刺さ…続きを読む
コツコツ、と。心を軽くノックする作品。ガツンとした衝撃もなければ心を踊らせるわけでもない。包み隠さない、灰色の文。ちょっとだけ周りを細かく見つめて感傷に浸る。自身を気取らない。けど純文学気取りの…続きを読む
かつて、明治という時代においては文学というものもひとつの国家プロジェクトであった。当時の文学は、近代的国家を成立させる一連の運動とともにあったので、それは伝奇といわれる中世の文芸のカウンターを目指…続きを読む
スレた雰囲気の文章から、純文学を気取りつつも何も飾りたくないという感情が伝わってきたように思えた。何も起きない、それでも物語にはなる。インパクトだけを重視した小説が世を席巻する中で、呼吸をするよう…続きを読む
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