むかしむかし浦島は、世界をどう変えたのか

おなじみのおとぎ話『浦島太郎』を、SF的に換骨奪胎した作品。同じような試みはほかにもありますが、この作品の画期的なところは、SF的な解釈を描くのにとどまらず、解釈を踏まえた新たな世界を作り出しているところです。太古の昔、シアノバクテリアが生命活動の結果酸素をもたらし、地球に動物を繁栄させたのなら、人間は二酸化炭素を増やして次の生命体の礎となる運命なのでは、というようなSF作品を読んだことを思い出しました。「SFは世界を描くもの」とは小松左京の言葉でしたが、そういう意味ではまさにSFの名にふさわしい作品です。

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