あの高尾つばき様の小説。しかも事実に基づく“ほぼノンフィクション私小説”となると俄然興味も湧いてくる。
だから読む。読むったら『ヨム』。
大学の漫画研究部と聞くだけで、個性的な方がいそうだなと思っている私ですが、私立中京都大学には想像を遥かに超える方がいらっしゃいました。いやフィクションのおたくすら凌駕するノンフィクションのスーパーおたくであり、やばいです。
そのスーパーおたく姫二郎君の「恐怖の人形魔窟」――ですか。
それはもしかしたら、メキシコのソチミルコに実在する人形島をも凌駕する恐さなのかもしれない。全ての瞳が部屋の中心に向けられているとのことだが、真ん中に立ったらなんだか呪い殺されそうだ。
そして宇宙人と対戦バトルをする姫二郎君ですが――え? 彼、何なの? ほんとに只のおたくなの?? ノンフィクションでいいんですよね??
取り敢えず第三話まで読みましたが、姫二郎君のインパクトが強すぎてほかの人を忘れました(^-^;
ところで『リカちゃん人形同盟』……はともかく、カイゼル髭をたくわえたレアな髭リカちゃんなんてものが存在するのですね。――いらないですけど(笑
一言、ネットリとした文体である。
虚構と現実、あるいは猟奇と狂気or狂喜を文字に踊らせたなら、間違いなく古今の文豪と呼ばれる方々に匹敵するんじゃなかろうか?
読み進めるうちに、まるで奥歯で芥子の実をかじったような(まあ、私はかじったこと無いからわからんが)、そんなピリリとした(ん? これじゃ山椒か?)味わいがあります。
そして、筆のパワーが素晴らしい。文のなかに見え隠れする『毒』。これがたまらんのです。
作者様の『猟奇なガール』で爆笑させられ、膝を粉々に打ち砕かれた挙げ句に他人様から不審がられましたが、今作もややベクトルは違えど紛れもなく怪作です。
ジットリと、じゃなく、ジックリとお読みいただきたい。