『高尾つばき』ワールドここにあり

 一言、ネットリとした文体である。
 
 虚構と現実、あるいは猟奇と狂気or狂喜を文字に踊らせたなら、間違いなく古今の文豪と呼ばれる方々に匹敵するんじゃなかろうか?

 読み進めるうちに、まるで奥歯で芥子の実をかじったような(まあ、私はかじったこと無いからわからんが)、そんなピリリとした(ん? これじゃ山椒か?)味わいがあります。

 そして、筆のパワーが素晴らしい。文のなかに見え隠れする『毒』。これがたまらんのです。

 作者様の『猟奇なガール』で爆笑させられ、膝を粉々に打ち砕かれた挙げ句に他人様から不審がられましたが、今作もややベクトルは違えど紛れもなく怪作です。
 ジットリと、じゃなく、ジックリとお読みいただきたい。

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