この妹……まだまだ増えるぞッ!!!!

 ストーリーは緩やかに始まりながら、止まることができない。分裂による増殖とはどんなものなのか、この物語は二乗で増えていく妹と同じ速度でストーリーは加速する!
 妹というキャラクターがぼかして書いてあるため、兄主人公の視点で物語を追えるのが非常に良かった。お兄ちゃんという役割だけの主人公が分裂する妹に対して変わらずに愛情があること。
 また、分裂後も兄への愛情を持っている妹。分裂する前からの家族愛、分裂しても薄れない愛情。何人でもたった一人だけの兄を想う妹。何人でも妹を想うただ一人の兄がどうなっていくのか、物語の限界点で決着を迎える一瞬まで目が離せませんでした!
 登場人物が多いようで少なく、物語の膨らみが抑えられているので一つの結末を迎える仕様だと思います。
 もし望むなら……分裂した特別な妹と何日か共存や略奪と奪還があり、妹が望む日常とは何なのか個別にあったのなら、どの妹を選びどんな結果になったか複数の結末のある物語を読んでみたかったです。
 最後に一つ、一番気に入ったのは『お兄ちゃんは妹の為ならば、世界が破滅しかけても決してあきらめない!』という所です。