第2話 遭遇
無人の街。
天気は晴れ。
気温は30度くらい。湿度は80%以上はありそうだ。
とにかく蒸し暑くて死にそう。
「……そういえば、スリッパじゃねぇか。俺。」
薄緑色のペラペラの服とズボンを
建物の影に沿って、日差しを避けるように街の中心へと向かう。
一体ここはどこなんだ。俺は死んでるのか。それとも未来に行っちまったのか。
雑草がぼうぼうに生えているアパートの庭が見える。ほとんど、いや、全ての建物が外壁が朽ちてガラスもバリバリに割れている。
車も見つけたが動きそうには見えない。
「ふぅ。喉が、渇いた。水。」
周りを見渡すが、新品の冷たい水が簡単に手に入るとは思えない。
ドクドクドクドク……
時間が経つにつれ、冷静になる祐介。
恐怖感が時間と比例して増加しているようだ。
それにしても本当に静かだ。まるで海に潜ってたときのようだ。
しかし、そのときのようにはリラックスできない。
今は真逆だ。色々なところから何かが見ているように、視線を感じる。
目的地はない。行く宛はないが、歩く。ただひたすら歩いている。
「ここは、左に曲がるか。」
そう誰もいないのに呟き、左に曲がる祐介。数歩だけ歩いたところでピタリと足を止めた。
ドクンッ!
心臓が爆発しそうになる。目を見開く祐介。
「あ、え、え?!」
数十メートル先に、何と動物が歩いているのだ。
後ずさりをしようとする祐介。すると、今度は足元から予期せぬ音が鳴り響いた。
バリバリッ!
「!!?」
どうやら建物の砕け散ったガラスを踏んだようだ。
そおっと体勢を整え、再び前を見てみる。
その動物の正体が今度は分かった。そして同時に体が凍りついた。
「ヤバイ……!!」
ドッ!ドッ!ドッ!
焦る祐介に猪が走ってきた。
スリッパを脱ぎ捨て、全力で走る祐介。
「…はぁ、はぁ、ヤバイ……」
「殺される!!!」
猪は速度を緩めず全力疾走でこちらに向かってくる。
先程まで歩いてきた道を逆走する。
後ろを振り替えると、すぐそこまで猪が迫っている。
「ヤバ………」
グサッ!!
「痛ッ!?」
足にガラスが刺さってしまった。
ずっこける祐介。
「終わった…」
・・バキンッ!!!
第三話へ続く……
生命抗争-ワールドゲーム- 癒着家 @Naito
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