2nd Choice..
軽井沢。
「ここか…」
招待状に記載されたホテル。
「すっげ、豪華じゃん」
だだっぴろい庭園を抜けた先に待っていたのは、豪華な新築のホテル。
開け放たれた、巨大な両開きの門をくぐる。
出迎えはない。
けど…
「すっげーシャンデリア。どんな金持ちが泊まるんだよ」
いや、マジラッキーだよ、なんて思いながら円形のロビーを見渡し、受付を探す。
「あなたも招待されたの?」
黒髪のストレート。
美人なお姉さん。
「そうっすけど…」
いや、マジラッキー。
「なんかね、ホテルの人いないみたいよ」
「え?」
「まあ、今日は貸切みたいだし、集合時間にはもうちょっとあるし、まってみましょうか、って空気なんだけど」
「そ、そうですか」
貸切か~、すげーな。
でもなんで俺に話しかけて…
「今、なんで俺に話しかけてきたのかな、とか思わなかった?」
「いや、べつに…」
「なんかね、あんたオドオドしてたし、話しかけやすかったのよ」
なんだと?
オドオドなんかしてるつもりは…なくも…ない…かも。
確かに、他の人は恐そうだったり、寡黙な感じだったり、絵に描いたようなギャルだったり…話しかけにくい。
「あたし、サユリ。あんたは?」
「お、俺は――」
『バンッ!!』
急に、照明が落ちる。
『カシャン』
スポットライト。
『は~い、ようこそお越しいただきました~~』
照らされたフロアの真ん中には、さっきまでなかったステージが出現。
拡声器を手にしたピエロが立っている。
『さあ、とってもラッキーなみなさん。ようこそ、人生を楽しむ宴へ』
徐々に明るくなる場内。
『どうぞ、最後までごゆっくりお楽しみください』
『ギギギ…バタン』
ドアがひとりでに閉まる。
急展開にどよめく場内。
『ガガガガ…』
壁や天井が上へ上へとあがりだす。
いや、この地面が揺れる感覚。
このロビーが地下へさがっている?
『まず、お集まりいただいた12人のみなさんをお部屋へとご案内します』
『ガコンッ』
大きな振動と共に、ロビーの動きは止まり、壁には12個の扉が現れる。
ド派手な演出。なんかすげーな…。
高まる期待感。
こんな凝ったイベント、聞いたことねーぞ。
『この12の扉が皆さんのお部屋への入り口です』
扉には1から12の番号。
「すっげー、マジ、やばくねー?入っていーの?」
見るからに不良なオーラを醸し出しす、ジャージ姿の男が、扉へと歩を進める。
『おっと、お待ちください。その前に、皆さんにゲームに役立つアイテムをお渡しいたします』
みんなの視線は再びピエロに。
ステージ上には布をかけられた円卓。
『バサッ』
布を払う。
そこには、マシンガンや拳銃、ナイフ。
中にはピコピコハンマーやハリセンなんかもある。
『さ、ご自由にどうぞ』
「ヒュー。ゲームって、サバゲーかぁ?俺、得意だぜ」
言って、円卓に向かうのは、迷彩服を着たマッチョ。
おいおい、俺、サバゲーって気分じゃないんだけど。
迷彩マッチョは、円卓に近づくや、目の前にあった拳銃を手に取る。
「お、クオリティたけーな」
壁へ銃口を向け、じっくりと確かめるように照準を合わせる。
「まるで本物だな―」
『パンッ』
「おわっ!」
迷彩の叫びと共に広がるどよめき。
「お、おい、なんだよこれ」
『なんだよって、ベレッタです。さあ、一人一つまでですよ~』
なにこれ…。
リアル何々ゲーム的な、そんなノリ?
いやいや、漫画じゃねーんだから…
スタスタと円卓に向かう影。
寡黙を決め込んでいた黒いパーカーの少年。
高校生くらいだろうか。
「これ、ショットガン?」
『その通り、ショットガンです』
パーカーはその武器を構え、俺たちを端から端までなめるようにゆっくりと銃身を左右に振る。
おいおいおい。
「バーン… なんてね」
…頭大丈夫か、コイツ。
「ひゃは、おもしれー」
触発されたのか、奇声を発して円卓へ走る不良ジャージ。
サユリさんも、彼に続いて走り出す。
サユリさん?
「あんたも取りなっ!」
振り返ったサユリさんの声にハッとする。
でも、その時すでに他のみんなも走り出していた。
次々と取られていく武器。
テーブルにたどり着く。
慌てて目の前のものを取る。
って、なんだ、これ?
「ね、これ、マシンガンよね…」
サブマシンガンと呼ばれるタイプの武器を手にしたサユリさんが俺に声をかける。
「あんたのは?」
「俺の、は…」
俺が選んだのは…スマホ?
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