Last Choice..

あの、クソみたいなゲームのクリア特典の一つ、『人生を楽しむ権』というのは、次回以降のゲームを、あの観覧席から眺める権利の事だった。


俺は、そんなふざけた権利、賞金やらなんやらの他の特典ごと、すべて即断で放棄した。


くそっ。

人生を楽しむ会だと?

付き合ってられるか。

悪趣味にも程がある。



あれから、まもなく10年がたつ。


俺は、あの悪夢に抗うように必死に働き、普通の人生を楽しみ、そして、結婚もした。


遊園地。


母親に手を引かれて歩く子供たち。


5歳と2歳になる宝物。


「お父さん、アイス食べたい」

「たべう~」

「はは。お母さんに聞いてみなさい」

「お母さん…」

「仕方ないわね~。ほら、並ぶわよ」


売店の列に並ぶ家族を眺めながら、幸せをかみしめる。



サユリ…。


君に生かされたこの人生。

決して無駄にはしない…。



『風船、いりますか?』


「ああ、風船なら子供たちに…」


…この、声。


顔を上げる。


目の前には…ピエロ。


『じゃあ、このスマホは?』


「貴様っ、今更なんの用だ」


『これね、改良されたんですよ。いやー、優秀な企業さんですねぇ』


「は?」


『いやね、10年。10年前までメール送れるようになりましてね』


「な、なにが言いたい…」


『ほら。よかったらどうぞ。入力、しときましたよ?』


差し出されたスマホ。


画面には“左へ”の文字。


『あとはお好きにどうぞ~』





【10年前へ届けるメール。あなたなら…どんな言葉を選びますか?】

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選択 【It's his case.But if you...】 あきない @akinai

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