5th Choice..

俺は、地下へもぐる度、感情をなくしていった。

仲間たちは、ライバルになり、そして散っていった。


渦中、ほとんどの人間が狂乱していった。

だが俺は狂わない。


なぜなら、俺は目的を持っていたから。

―― サユリを生かす。

それがなければ、自ら命を絶っていただろう。


実際、自分の命だけを天秤にかければ、死んだほうが楽だ。

彼女を生かすために苦しいが生きる。


惚れたのかって?

そうかもね。

おかげでなんとか生きている。




残り…3名。


俺。サユリ。黒パーカー。



『さあ、残すところはあと2ステージです!』


…。


『あれ、反応なし?』


…。


『つまんないの…。まあいっか。じゃ、サクッと終わらせましょ。もう、多数決。多数決で1人落として』


「は?」


黒パーカーがピエロを睨む。


『いいねぇ、その目つき。そうじゃなきゃ』


「多数決ってどういう事だよ?」


『しらないの?パーカー君がいい人~、はーい!ってやつ』


「ざけんな。んなこた知ってるよ」


『じゃあ聞くなよ。はい、始めます。パーカー君がいい人~』


「あー、待て。わかった。わかったよ、ったく」


黒パーカーが両手を上げて壁際にさがる。


『な~に~?』


「はぁ。やってらんない、まじで」


紐で括り付け、背中に回していたショットガンに手を掛ける。


『チャキッ』


マシンガンを構えるサユリ。


「まぁ、まて。はやまるな」


パーカーは、ショットガンを天井に向けている。


「あ~、はめられたよ、ピエロさん。とんだ出来レースだ」


黒パーカーの少年は、ゆっくりと天井を仰ぐ。


「ねぇ、お二人さん、どうせならさ、このクソピエロに一発かましたい。気持ちわかるでしょ?」


そういうと、パーカーの少年はピエロに向かってショットガンを構える。


『かまいませんよ。どうせ痛くもかゆくもないし。無駄です』


「無駄ね。そんじゃ、ま、行きますか」


少年が引き金に手を掛ける。


「撃ち、ます、よっ」


引き金を引く寸前。銃口はサユリに向く。


『ドンッ』


「くっ…」


『ガタッ』


膝をついたのは、少年。


煙を上げているのは、俺が迷彩から回収したベレッタ。


「それ…」


スマホには何も表示されていない。


未来の俺じゃなく、今の俺の意志で撃った。


…サユリは俺が守る。


『パチパチパチ』


『お見事。さ、最終のフロアに移りましょう。ふふふ。やっぱり最後は君たちのほうが面白そうだ』


…なにがあろうと、俺はサユリを守るだけだ。

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