たとえファンタジー世界でも、働く者はツライよ。

大きくは三つのエピソードで構成されるオムニバス形式です。だから、文字数の割には苦労無く読み進められます。ファンタジー物なので、そもそもが肩の凝る作品ではないです。
但し、薄っぺらい作品ではなく、執筆動機が「お仕事コンテスト」への応募だったので、働く社会人世代でも楽しめます。
一つ目のエピソードは新入社員を題材に、二つ目のエピソードは管理職を題材にした内容だとも言えます。
三つ目は、コンテスト応募後に書き足したのでしょうか、純粋にダンジョン系ファンタジーと言えます。
ファンタジーですから、キャラ設定の巧拙が作品の質を大きく左右しますが、本作品では定石通り。ヒーロー、ヒロイン、魔法使い、体育会系戦士の組み合わせを微妙にアレンジした登場人物が、出しゃばり過ぎず、埋没せずの程良い存在感を保って終盤まで活躍します。
最後に。オムニバス形式と書きましたが、飛ばし読みは勧めません。最初を読まないと世界観の背景設定を理解できないし、二つ目のエピソードは読み飛ばすには勿体無い。