貨物船の船員さんを夫に持つ女性のエッセイ。旦那さんは一度船に乗ってしまえば何ヶ月も戻ってこない生活。
ですが、著者の方に悲壮感はありません。
著者さんご自身がご結婚前は海の女だったこともあるでしょうが、お子さんがいて、日々の生活があるから。
そういうお話がつらつらと語られていくだけで船乗りの家族ならぬ私には興味深いですしおもしろいのですが、本作にはなにより女性――特に母という存在のたくましさといいますか、「生きてる感」が満ち満ちています。
いや、お子さんがらみのお話、実に色合い豊かで読みふけってしまいました。
うーん、私もこんなお母さんがいたらマザコンになれていたにちがいありませんね。
という邪念はともあれ。
合間に挟まれている結婚前のエピソードもなるほどーの連続。
なかなか知ることのできない世界を垣間見せてくれる「生活記」、みなさまもぜひのぞいてみていただきたいと思います。
(必読!カクヨムで見つけたおすすめ5作品/文=髙橋 剛)
旦那さんが国内の貨物船勤務。その形態は3か月船の上にいてその後1か月が丸ごと休日。この変則的な形態が家族にどんな影響を及ぼすのか、ある意味克明にある意味セキララに書かれています。
小さい息子さんは「見慣れないおじさんが来た」と大騒ぎ。
そのほか、作者さんが船上勤務だったころ、セクハラ常習犯、それに霊体験。内容も豊富です。
そして育児。男の子なら大好きな特撮ヒーロー。その鑑賞するとき必ずすることは、あるいはヒーローショーに出かけたとき、お母さんはなにを目的に見に行くのか。育児あるあるも満載のエッセイ。
他の人の人生を垣間見る。貴重な経験ですね。