陸で暮らす船乗りのお嫁さん、その毎日を綴る嫁/母エッセイ

貨物船の船員さんを夫に持つ女性のエッセイ。旦那さんは一度船に乗ってしまえば何ヶ月も戻ってこない生活。
ですが、著者の方に悲壮感はありません。
著者さんご自身がご結婚前は海の女だったこともあるでしょうが、お子さんがいて、日々の生活があるから。

そういうお話がつらつらと語られていくだけで船乗りの家族ならぬ私には興味深いですしおもしろいのですが、本作にはなにより女性――特に母という存在のたくましさといいますか、「生きてる感」が満ち満ちています。
いや、お子さんがらみのお話、実に色合い豊かで読みふけってしまいました。
うーん、私もこんなお母さんがいたらマザコンになれていたにちがいありませんね。

という邪念はともあれ。
合間に挟まれている結婚前のエピソードもなるほどーの連続。
なかなか知ることのできない世界を垣間見せてくれる「生活記」、みなさまもぜひのぞいてみていただきたいと思います。

(必読!カクヨムで見つけたおすすめ5作品/文=髙橋 剛)

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