概要
函館の街から映画館は消えても、青春のスクリーンは消えない。
還暦を過ぎた主人公が、押し入れで見つけた古い映画ポスターをきっかけに、函館の映画館で過ごした日々を振り返る。巴座、松竹セントラル、東映シネマ――かつて街を彩った映画館には、人々の喜びや悲しみ、青春の記憶が刻まれていた。やがて映画館は姿を消し、街の風景も変わっていく。しかし、スクリーンの光に照らされた思い出は消えない。シネコンの誕生によって新たな時代を迎えた映画文化を見つめながら、主人公は気づく。映画館とは、街と人の心をつなぐ場所だったのだと。函館の映画館の興亡を通して、失われた風景と人生の記憶を温かく描く物語。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!嗚呼、なつかしの場末映画館。
私が住んでいる地方都市でも、小さい頃から親しんで来た映画館は全て無くなりました。函館もそうらしいです。
シネコンはキレイで便利ですが、何だか味気ないんですよね。昔ながらの場末映画館で、入口で券をもぎってもらって、早めに行って良い席を取って、気に入ったらもう1回観たりして、そういうところが良かったんです。
おばちゃんの売店でお菓子とコーヒー買って、次は何やるのかポスター見て、チラシを取って、パンフレットも買って。今じゃ歳とって、映画は3時間近くあって、コーヒーなんか飲んだら途中でトイレ行かなきゃいけない。トイレがまた古くてあんまりキレイじゃなかったりしたんだよなあ。
でもそんな映画館で映画を観…続きを読む - ★★★ Excellent!!!映画館の灯りは消えても、青春のスクリーンは色褪せない。
函館という街の情景、そして映画館という場所が持つ温もりと哀愁が、全4話というコンパクトな構成の中に美しく凝縮された素晴らしい現代ドラマです。
失われていくものへの郷愁と、胸の奥にしまい込まれていた青春の記憶が鮮やかに蘇り、ページをめくる手が止まりませんでした。登場人物たちの等身大の葛藤や、街の灯りとともに揺れる心情が非常に丁寧に描かれており、読後には温かい余韻が胸に残ります。
短編でありながら一本の上質な映画を観たかのような深い満足感を味わえる一作です。心に染みる人間ドラマが好きな方に、ぜひおすすめしたい作品です!