概要
巻き戻すたび、記憶が消える。写すたび、君が消える。
パランプセストとは――羊皮紙に書いた文字を削り、その上から別の文章を書き直したもの。けれど、消したはずの古い文字は、下からうっすらと浮かび上がってくる。何度上書きしても、消えないものがある。これは、そういう物語。
時間を巻き戻すと、いちばん大切な記憶が、一つ消える。
その少女は、カメラにも写真にも、残らない。レンズに写すたび、この世から薄くなっていく。
助けたい相手を助けるほど、俺はその相手を、忘れていく。
金曜の深夜。疎遠だった父が、書斎で倒れた。駆けつけた伊勢崎天雅――二十四歳、システムエンジニア――が実家で見つけたのは、資料の山と、赤ペンで何度も囲まれた「一九八二」の数字。そして、電源の入ったままの、四十年前のパソコンだった。
起動した瞬間、画面の光から、一人の少女が
時間を巻き戻すと、いちばん大切な記憶が、一つ消える。
その少女は、カメラにも写真にも、残らない。レンズに写すたび、この世から薄くなっていく。
助けたい相手を助けるほど、俺はその相手を、忘れていく。
金曜の深夜。疎遠だった父が、書斎で倒れた。駆けつけた伊勢崎天雅――二十四歳、システムエンジニア――が実家で見つけたのは、資料の山と、赤ペンで何度も囲まれた「一九八二」の数字。そして、電源の入ったままの、四十年前のパソコンだった。
起動した瞬間、画面の光から、一人の少女が
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