概要
私はとても握力が強いから……きみの手を握ったら離せなくなりそうで
◆◆◆ あらすじ ◆◆◆
主人を忘れられず、愛しつづける師と。
良い子でいたがる弟子の、旅のお話し。
伯爵家を追放されたリュスは、古い宿の屋根裏部屋で、魔法使いフレルセに出会う。
フレルセの使う魔法は、安楽死の魔法。「らくに、やすらかに、死なせたい人がいる」。切なる思いから、この魔法を習いたいと、リュスはかれの押しかけ弟子となる。
師弟は、安楽死を求める人々を訪れ、魔法で死なせる旅をする。
依頼人は叫ぶ。この世界に生きる価値はない。愛する妻に迷惑をかけたくない。眠れないほど苦しい病があることを、おまえは知らない……。
安楽死に接する人々の激情に翻弄され、死を直視することは過酷だった。
フレルセは転ぶリュスを抱きあげ、リュスはフレルセを一途に慕う。
苦しいとき、優しいとき、いつも隣りに
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!僕があなたを、眠らせる魔法使いになる。
雨の音が聞こえてきそうな物語です。安楽死という重い題材なのに、読み心地はふしぎなほどやさしく、静かに胸へ染みてきます。
とりわけ心に残るのは、魔法使いフレルセと少年リュスの距離感です。つい抱き上げてしまう手、靴擦れを手当てする指先、「痛かったね」というさりげない一言。その温もりに、読んでいるこちらまで慰められました。小説の魔法使いに憧れていた少年が、「魔法」について熱く語る場面もいじらしく、胸が熱くなります。
雨、蜜蜂、蛙、薄荷の香りといった自然の描写は繊細で、言葉の一つひとつが丁寧に磨かれています。死を見つめる物語でありながら、読み終えると「生きる」ことが少し愛おしく思える、静かな一作…続きを読む