概要
〇・三秒。その数字を、政治は知らなかった。
1990年代前半。バブルが崩壊し、日本が「失われた時代」へと転落しようとしていた頃、別の戦いが静かに始まっていた。
大手電機メーカーの原子力部門で十五年、設計に携わってきた技術者・山下裕貴、三十八歳。アメリカの原子力規制委員会から「規格をアメリカ基準に統一せよ」という要請が届く。
従えば、十五年かけて積み上げた安全系の設計がほぼ全部やり直しになる。安全性が、下がる。
山下は言い続けた。会社に、役員に、霞が関に、大臣まで届くように。でも流れは変わらなかった。
おかしい、と思っても手は動く。記録する以外に、できることがない。
設計した人間と、現場で働く人間と、霞が関の官僚が——それぞれの場所で、同じことをしていた。変えられなくても、記録する。言い続ける。それだけが、自分たちにできることだった。
大手電機メーカーの原子力部門で十五年、設計に携わってきた技術者・山下裕貴、三十八歳。アメリカの原子力規制委員会から「規格をアメリカ基準に統一せよ」という要請が届く。
従えば、十五年かけて積み上げた安全系の設計がほぼ全部やり直しになる。安全性が、下がる。
山下は言い続けた。会社に、役員に、霞が関に、大臣まで届くように。でも流れは変わらなかった。
おかしい、と思っても手は動く。記録する以外に、できることがない。
設計した人間と、現場で働く人間と、霞が関の官僚が——それぞれの場所で、同じことをしていた。変えられなくても、記録する。言い続ける。それだけが、自分たちにできることだった。
いつも応援有り難う御座います
おすすめレビュー
書かれたレビューはまだありません
この小説の魅力を、あなたの言葉で伝えてみませんか?