作中内に書かれている精神病院の閉鎖病棟は有名な精神科医(Y・N氏)に言わせると、「こんな精神病棟や保護室は半世紀前には有ったと聞いています」
とのことらしいです。
しかし、現に当時の筆者(17歳)は半世紀前どころか、たった6年前に作中内の出来事を閉鎖病棟の保護室で経験したのであり、しかもこの精神病院は、わずか一年前、2019年にも看護師が患者に対し暴力を働いたとしてニュースになっています。
それも田舎の文明化が追いついていない精神病院ではなく、大阪の1、2を争う精神病院で、です。
やおよろず様が「受験勉強のストレスは想像を絶することを大人になると忘れてしまう」と書いて下さいましたが、これは受験勉強に限らず精神病院内でも同じことで、大人は社会に理不尽が存在しているということを知っているから妥協でき、怒りをコントロールし、耐えられるでしょう。
しかし、15歳という右も左も分からない思春期の青年(17歳で思春期だった当時の私が偉そうなことを言える立場でもありませんが...)、にとって、受験勉強にしろ、閉鎖病棟にしろどれほどのストレスになるのか?
まったくY・N氏がどれほど高名な精神科医だか知りませんが、精神科医が精神病院の保護室のナマの現状も知らない癖に語るんじゃねえという私の個人的な恨みによって殆どこの物語は書かれています。
出来ることなら、思春期の青年や、引きこもりや不登校児、受験ノイローゼの青年やうつ病や自閉症といった障害者たちや、認知症の家族を持つ人などに、この作品が読まれることを願うばかりです。