作家にはふたつのタイプがあり、僕はよく言えば、石橋を叩いてコツコツと努力する性格です。一方では、ひらめきを大切にする感性鋭い性格の人もいます。
僕は作品にふさわしい言葉が思いつかないとき、時間をかけてネットの辞書でひとつひとつ言い換えを検索し、探し求めなければなりません。思いつかなければ、飛ばしてしまえば良いのに。それで、作品を描くのに時間がかかるのです。こんなことでカクヨムコンは間に合うのでしょうか? 本当に嫌になるほど損な性格だと思います。
今日もこんな恥ずかしい場面に遭遇しました。湧き水の音を描くのに適切な言葉が思い浮かびませんでした。「湧き水」や「水の音」で描写を検索したところ、ふさわしい言葉が見つからず、しばらく呆然として筆を止めざるを得ませんでした。
水が湧き上がるオノマトペ(擬音語)を探していたのですが、「さらさら」「ちょろちょろ」「ゴボゴボ」「ポタリポタリ」などしか見つからず、もっと情感豊かで滑らかなものを探していました。結局のところ、オノマトペは使わずに「静寂に溶け込む、湧き上がる水の音色」と表現してしまいました。その一行を描くのに三十分もかかり、ほとほと疲れました。
しかし、僕にはこの創作スタイルを貫くしかできません。よかったら、ぜひともお付き合いください。せっかくですから、富士山麓にたたずむ水の聖地、忍野八海の画像を描いてみたのでご覧ください。