街の駅のロータリーに、昔からある一軒の本屋が残っていた。何年ぶりだろう、この店内に入るのは。新刊書から雑誌、近ごろ有名なアナウンサーの写真集まで、様々な書籍が並んでいる。
しかし、目を奪われたのは一冊の文庫本だった。裏表紙を見ると、定価は六百二十円。紙の小説をペラペラとめくりながら、人知れず懐かしい想いが込み上げてくる。
手に取って帰った本は、小坂流加さんの「生きてさえいれば」だった。この作家は以前に、小松菜奈さんと坂口健太郎さんがW主演した映画「余命10年」の原作者だったことを後で知った。しかし、「編集部による解説」を読んで衝撃を受けた。小坂さんは後者を書き上げた後、三十九歳で亡くなっていたという。
「生きてさえいれば」の内容を少しだけ紹介させてください。以下は公表されているあらすじからです。 生きていれば、恋だって始められる。生きてさえいれば……。 大好きな叔母・春桜が宛名も書かず大切に手元に置いている手紙を見つけた甥の千景。病室を出られない春桜に代わり、千景が一人で届けることで春桜の青春時代を知ることになる。学内のアイドル的存在だった読者モデルの春桜。父の形見を持ち続ける秋葉。二人を襲う過酷な運命とは――。魅力的なキャラクター、息もつかせぬ展開。純粋な思いを貫こうとする二人を描いた奇跡のラブストーリー。 『生きてさえいれば』 ~文芸社文庫NEO~ 彼女が伝えたかったメッセージだけでもご覧ください。 (時間は二分弱となります)
https://youtu.be/_UBiHyfxkOI