この二か月あまり、ひとつの作品にかかりきりでした。
長編小説を書き終えると、心にぽっかりと穴が空いたような空虚の思いに襲われてしまうものです。
そんな気持ちを慰めてくれるのは、やはり作品を書く時に聴いた音楽です。
加古隆(Takashi Kako) - パリは燃えているか
Requiem - S.E.N.S.
バッハ「G線上のアリア」Bach "Air on G String"
Canon in D (Pachelbel) パッヘルベルの「カノン」
アヴェマリア カッチーニ Ave Maria
いずれも、儚くも美しいメロディーです。こんな情景が浮んでいました。いかがでしょうか? もっと情感豊かに描けないのは残念ですが。
春の陽光が樹氷の森に
優しく微笑みかける
春の陽光が樹氷の森に
恋人のように寄り添う
別れの時が近づくと
樹木に宿る冬の精霊は
最後の力を振り絞って
霧氷の蝶に成り代わり
七色の光となって輝く
十和里山の樹氷の森は
おわりの季節を迎えて
哀しく美しい世界に
涙をこらえて 扉を閉める
冬の精霊は風に乗って
穏やかな空に解き放たれ
名残惜しみながらも
白銀の幻想回廊に
虹色の蝶を舞わせる