────散歩の道すがら、春が恋しくなり名句を見つけてしまう。
思わず羨ましい想いでいっぱいとなり、ワンランク上の「言葉の引き出し」を欲しくなってくる。
春の海 終日のたり のたりかな(与謝野蕪村)
「終日」は〝 ひねもす 〟と詠むらしい。
小春日のをんなのすはる堤かな(室生犀星)
「小春日和」は初冬の穏やかで暖かな日らしい。
いずれも、柔らかな日差しすら感じられてくる。
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つかの間の陽だまり 名残惜しむように
戯れる小鳥たちを 横目にしながら
せせらぎ届く 親水公園を散歩してゆく
道すがら スマホを取り出して
カクヨムの世界を覗き込んでいる
一瞬 目を疑ってしまう
いつとはなしに よもすがら
見ず知らずの旅人 旬風に誘われるのか
遠い過去へ置き忘れた 空蝉となる小説の門を
別れを偲ぶかのように 叩いてくれていた
思わず 頭を垂れて 手を合わせてしまう
もうじき この池のほとりにも
季節の暦を 一つめくると
ソメイヨシノ 美しい花びら
艶やかに 舞ってくれるのだろうか……
「今日の一枚」は春が待ち遠しい近所の景色からご案内いたします。