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ばあさんの思い出 その3

ダンジョンの話ばかりなので、ばあさんの思い話をしようか。
名前は、トラだったかなぁ。サーベルタイガーを連想するかもだけどトラディショナルの短縮だったかな。意味はしらんけど。

弓の名手でね。2キロ先の飛んでる燕の目に当たらなくなったってんで引退するって話になってな、そっから100年ほどは現役をやってたかな。あ、モンスターの名前も日本の動物に置き換えてるからね。そのまんまではイメージもできんだろ?

引退してから、このダンジョンの入口の仕事を始めたんだけど男前が大好きでね。もちろん、女子もキリッとしたのが大好き。日本だと・・・宝塚ってのがあったよな。ま、それだ。
 入り口横のベンチに座って、前に置いた小洒落たテーブルにお茶をセットして近所のおばはん風を装ってるけど坂を登ってくるのを観察していて男前かどうかで対応を変えるそうな。
問題は、何を持って男前と判断するかというあたりだな。ばあさん自身の目も耳もしっかりしてるし弓は、500メートルの下りなら容赦はない。曲射なんてのもお手の物なんだ。
なので勇者の称号を持って無理難題を言ってくる場合は、わかるよね?

そのばあさんもついに、その時が来て居なくなることになったそうな。
(あとを引き継いだのは、この俺なんだけどね)

ダンジョンの話に戻ろうか。

どこまでだったっけ。迷路の草原地帯だったっけ。無事に迷路を抜けることができると湖水地方なんだ。ものすごくのどかで透明度の高い湖で、水中からモンスターが浮かび上がってくるのがわかるしうまい魚も釣れるんだ。
調理に関しては、滝のダンジョンで貰った角帽で学習済みなので全く問題ない。
ちなみに季節は、ずーーーと春先で腹に卵を抱えた魚がウロウロしてて、釣り針を垂らすと入れ食いとは言わないものの、そこそこうまい魚が釣れる。
モンスターは、湖だけじゃなく森の中にも棲んでいて、これも難易度低めなんだ。
なので、この湖水地方にホームを持つ冒険者は結構いるんだ。この4階層から下の階層を攻略して疲れたら戻ってくるってやつ。

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