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4流小説家のぼやき:4

この前、アマプラかネトフリかは忘れたが、遅ればせながら『浅草キッド』を観た。
映画の総評は、それなりに『面白かった』というもので、ここでわざわざネタバレなどのリスクを負いながら、話すようなことでもないので、割愛する。
ただ、その映画の中で、一つ刺さったシーンというか、言葉があった。

あ……これもある意味ネタバレになるかもしれないので、ご注意を。



ある登場人物が、劇場で芸を披露してる最中、ヤジを飛ばした客に言った一言。
詳細には異なるし、あえてそのままは書かないが、
『こっちは芸を見せてやってるんだ、黙って見てろ!!』
というようなことを言った。
つまり、自ら研鑚を積み、努力と鍛錬で磨き上げた『芸』を、『見て貰ってるんじゃない』『見せてやってる』のだという。

その言葉を聞いた時、私の心はざわついた。

小説家を目指し、いくつもいつくも書いて、沢山の賞に応募していると、いつしか、『読んでもらっている』『選んでもらっている』……
『楽しんで貰えるだろうか』
『審査員、編集さんに評価してもらえるだろうか』
そんな風に、遜る根性が生まれて、それに感化されてしまう。
だが、そうじゃない。
私たちは、人生をかけて、一文、一文字ごとに、更に良いものを求めて書いているのだ。
それを『読ませてやっているのだ』『楽しませてやるために書いているのだ』
……そんな傲慢さも少しは必要なのではないだろうか。

なぜなら、他の人には書けないのだから。
面白いものを書ける人間が、書いてやっているのだ。
黙って読んで楽しんで、その対価として金を払え。

なんて、胸を張って言えるのは、きっと賞を取って、売れっ子になってからなんだろうなぁ……という、ぼやき。
ホント、すみません、なんとなく謝ってっておきます。

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